アウトバウンドvsインバウンド|顧客心理に基づくアプローチの違い
インサイドセールスを立ち上げる際、最初に直面する重要な意思決定の一つが「アウトバウンドとインバウンド、どちらを主軸にするか」という問いです。
多くの企業がこの選択を「リソースの制約」や「過去の慣習」で決めてしまいがちですが、本質的に重要なのは顧客の心理状態を起点にした戦略設計です。予期しない電話を受けた見込み顧客と、自ら資料請求をした見込み顧客では、心理状態がまったく異なります。この違いを理解せずにアプローチを設計すると、どれだけ優れたトークスクリプトを用意しても成果には繋がりません。
本記事では、BtoB営業におけるアウトバウンドとインバウンドの違いを顧客心理の観点から徹底解説します。SalesGridが提唱する「顧客心理7段階モデル」を活用し、それぞれの手法で最適なアプローチ設計を行うための実践的な知見をお伝えします。
アウトバウンドとインバウンドの意味と違いを正しく理解する
アウトバウンドとインバウンドという用語は、営業やマーケティングの現場で日常的に使われていますが、その意味を正確に理解している担当者は意外と少ないものです。まずは両手法の定義と、BtoB営業における位置づけを明確にしておきましょう。
アウトバウンド営業とは|企業から顧客へ能動的にアプローチする手法
アウトバウンド営業とは、企業側から見込み顧客に対して能動的に接触を図る営業手法です。英語の「outbound(外向きの)」が語源であり、自社から外に向かってアプローチを仕掛けることを意味します。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
| 施策 | 概要 | 特徴 |
| テレアポ(電話営業) | リストに基づいて電話でアプローチ | 即時性が高く、反応を直接確認できる |
| ダイレクトメール | 郵送やメールで資料・案内を送付 | 一度に多数へリーチ可能 |
| 飛び込み営業 | 訪問によるアプローチ | 対面での信頼構築が可能 |
| 展示会・イベント出展 | ブース設置による名刺交換 | ターゲット業界への集中アプローチ |
アウトバウンド営業の最大の特徴は、企業側がターゲットを選定し、タイミングを決定できる点にあります。市場開拓や新規顧客の獲得において、自社の意思で営業活動を展開できることが強みです。
インバウンド営業とは|顧客からの問い合わせを起点とする手法
インバウンド営業とは、見込み顧客からの問い合わせや資料請求など、顧客側のアクションを起点とする営業手法です。「inbound(内向きの)」という言葉の通り、顧客が自ら企業に接触してくることを待つスタイルとなります。
インバウンドリードを生み出すためのマーケティング施策には、以下のようなものがあります。
| 施策 | 概要 | 特徴 |
| Webサイト・オウンドメディア | SEO対策による検索流入獲得 | 継続的なリード獲得基盤 |
| コンテンツマーケティング | 有益な情報発信による興味喚起 | 信頼構築と認知度向上 |
| ウェビナー・セミナー | オンライン・オフラインでの情報提供 | 関心度の高いリード獲得 |
| SNS・メルマガ配信 | 定期的な情報発信による関係構築 | ナーチャリングとの連携 |
インバウンドマーケティングによって獲得したリードは、すでに自社の製品やソリューションに興味・関心を持っている状態です。そのため、商談化率が高く、効率的な営業活動が可能になります。
BtoB営業における両手法の位置づけと役割の違い
BtoB営業において、アウトバウンドとインバウンドは「どちらが優れているか」という二項対立ではなく、それぞれが異なる役割を担う補完関係にあります。
アウトバウンドの役割
- 新規市場への参入・開拓
- 休眠顧客の掘り起こし
- 戦略的ターゲットへの計画的アプローチ
- 短期間での成果創出
インバウンドの役割
- 継続的なリード獲得基盤の構築
- 認知度・ブランド価値の向上
- 購買意欲の高い見込み顧客の獲得
- 長期的な事業成長の実現
インサイドセールスの立ち上げにおいては、この両手法の特性を正しく理解し、自社の状況や目標に応じて最適な比率で組み合わせることが重要です。
顧客心理から見るアウトバウンドとインバウンドの決定的な違い
アウトバウンドとインバウンドの違いを理解する上で最も重要なのは、接触時点での顧客心理状態の違いです。この違いを無視したアプローチ設計は、必ず失敗します。
アウトバウンド時の顧客心理|予期しない接触への警戒と拒絶反応
アウトバウンドコールを受けた顧客は、以下のような心理状態にあります。
心理状態の特徴
| 要素 | 状態 |
| 警戒心 | 予期しない接触への本能的防御反応が発動 |
| 時間意識 | 「今すぐ終わらせたい」という強い欲求 |
| 情報開示 | 極めて慎重、必要最小限に留めたがる |
| 購買意欲 | 潜在的〜無関心レベル |
この状態を数値で表すと、感情分析スコアは-0.7〜-0.4程度となり、明確なネガティブ領域にあります。平均通話時間も15〜30秒と極めて短く、継続率は15〜25%程度に留まります。
アウトバウンドで成果を出すためには、この「警戒・拒絶状態」を前提としたアプローチ設計が不可欠です。長々と自己紹介をしたり、いきなり製品説明を始めたりすることは、顧客の心理状態を無視した行為であり、即座に通話を切られる原因となります。
インバウンド時の顧客心理|自発的な問い合わせがもたらす積極性
一方、インバウンドで接触する顧客は、根本的に異なる心理状態にあります。
心理状態の特徴
| 要素 | 状態 |
| 積極性 | 自発的な問い合わせによる能動的姿勢 |
| 時間意識 | 課題解決までの適切な時間は受容 |
| 情報開示 | 解決のためなら比較的オープン |
| 購買意欲 | 顕在化〜検討段階 |
インバウンドリードの感情分析スコアは0.4〜0.7程度とポジティブ領域にあり、平均通話時間は12〜18分と大幅に長くなります。課題解決提案率は85〜95%に達し、商談設定率も45〜65%と高水準です。
この違いを理解すれば、なぜ同じトークスクリプトがアウトバウンドでは機能せず、インバウンドでは成果を出せるのかが明確になります。
心理状態の違いが生む情報開示・購買意欲への影響
顧客心理の違いは、営業プロセス全体に大きな影響を与えます。
情報開示への影響
アウトバウンドでは、顧客は「なぜこの人に情報を教えなければならないのか」という疑問を常に抱えています。そのため、BANT情報(Budget:予算、Authority:決裁権、Need:ニーズ、Timeline:導入時期)の取得は困難を極めます。
対してインバウンドでは、顧客は課題解決のために自ら連絡してきているため、「解決に必要な情報なら提供する」という姿勢があります。ヒアリングへの協力度が高く、詳細な課題把握が可能です。
購買意欲への影響
アウトバウンドの顧客は、多くの場合「課題認識すらない状態」からスタートします。そのため、まずは課題の気づきを促すところから始める必要があります。
インバウンドの顧客は、すでに何らかの課題を認識し、解決策を探している状態です。そのため、課題の深掘りから始め、最適なソリューションの提案に注力できます。
アウトバウンド営業のメリット・デメリットと効果的な活用シーン
アウトバウンド営業は、正しく活用すれば強力な市場開拓ツールとなります。ただし、その特性を理解せずに実施すると、リソースの無駄遣いになりかねません。
アウトバウンドのメリット|ターゲット選定の自由度と市場開拓力
主なメリット
- ターゲット選定の自由度:自社が狙いたい企業・担当者に直接アプローチできる
- 市場開拓力:新規市場やこれまで接点のなかった企業への参入が可能
- タイミングのコントロール:営業活動のペースを自社で決定できる
- 短期間での成果創出:リードジェネレーションを待たずに即座に活動開始できる
- 戦略的アカウント攻略:ABM(Account Based Marketing)との親和性が高い
特にBtoB営業においては、理想的な顧客像(ICP:Ideal Customer Profile)に合致する企業をリスト化し、計画的にアプローチできる点が大きな強みです。マーケティング施策では接触できない意思決定者層にも、直接コンタクトを取ることが可能になります。
アウトバウンドのデメリット|低い接続率と心理的ハードルの高さ
主なデメリット
- 低い接続率:担当者に繋がる確率は一般的に25〜35%程度
- 高い拒絶率:継続的な会話に至る確率は15〜25%程度
- 心理的負荷:オペレーターのモチベーション維持が課題
- 時間効率の問題:成果に繋がらないコールが大半を占める
- ブランドイメージリスク:押し売り的な印象を与える可能性
これらのデメリットを軽減するためには、質の高いリスト作成、効果的なトークスクリプト設計、そして継続的な改善サイクルの構築が不可欠です。
アウトバウンドが効果的なケース|新規開拓・休眠顧客の掘り起こし
アウトバウンド営業が特に効果を発揮するのは、以下のようなケースです。
- 新規市場への参入時
- 新しい業界や地域への展開時、インバウンドリードがまだ存在しない段階では、アウトバウンドによる能動的な市場開拓が必要です。
- 休眠顧客の掘り起こし
- 過去に接触があった企業への再アプローチは、完全な新規よりも接続率・商談化率が高い傾向にあります。CRMやSFAに蓄積された顧客情報を活用し、適切なタイミングで再接触を図ります。
- 大量リストの効率的なスクリーニング
- 多数の見込み顧客リストから、実際にニーズのある企業を短期間で特定したい場合、アウトバウンドによるスクリーニングが有効です。
戦略的ターゲットへの計画的アプローチ 自社にとって重要度の高いターゲット企業に対しては、インバウンドを待つのではなく、能動的にアプローチを仕掛けることで接点を創出します。
インバウンド営業のメリット・デメリットと効果的な活用シーン
インバウンド営業は、効率性と商談化率の高さが魅力ですが、マーケティング施策との連携が前提となるため、準備に時間とコストがかかります。
インバウンドのメリット|高い商談化率と効率的なリード対応
主なメリット
- 高い商談化率:顧客が能動的に問い合わせているため、45〜65%の商談設定率を実現
- 効率的な時間活用:ニーズのある顧客のみに時間を投入できる
- 深いヒアリングが可能:顧客の協力度が高く、課題の本質を把握しやすい
- 信頼関係構築の容易さ:「相談に乗ってもらう」という関係性からスタートできる
- リードナーチャリングとの連携:MA(Marketing Automation)ツールとの統合が容易
特にBtoB営業においては、顧客が情報収集を完了した段階で接触できるため、提案の質を高めることに注力できます。
インバウンドのデメリット|マーケティング施策への依存と待ちの姿勢
主なデメリット
- マーケティング施策への依存:リードの量と質がマーケティング活動に左右される
- 待ちの姿勢:自社の意思でタイミングをコントロールできない
- 立ち上げまでの時間:SEO対策やコンテンツ整備に時間がかかる
- コストの先行投資:成果が出るまでにマーケティング投資が必要
- ターゲットの偏り:問い合わせてくる顧客に限定される
インバウンドだけに依存すると、マーケティング施策の成否に営業成果が左右されるリスクがあります。また、戦略的に獲得したいターゲット企業からの問い合わせを待つだけでは、事業成長の機会を逃す可能性もあります。
インバウンドが効果的なケース|問い合わせ対応・高額商材の検討顧客
インバウンド営業が特に効果を発揮するのは、以下のようなケースです。
- 問い合わせ・資料請求への対応
- Webサイトやフォームからの問い合わせは、最も確度の高いリードです。迅速かつ丁寧な対応により、高い商談化率を実現できます。
- 高額商材・長期検討案件
- 導入に慎重な検討が必要な高額商材では、顧客の能動的な情報収集を支援し、信頼関係を構築しながら商談を進めることが重要です。
- 既存顧客の深耕
- 既存顧客からの追加ニーズ相談は、インバウンド対応の典型例です。既存の関係性を活かし、アップセル・クロスセルの機会を最大化します。
セミナー・ウェビナー参加者へのフォロー イベント参加者は、特定テーマへの関心が明確です。参加後の迅速なフォローにより、効率的な商談創出が可能です。
顧客心理7段階モデルで解説するアプローチ設計の違い
SalesGridでは、顧客の心理状態を7段階で捉え、各段階に最適化されたアプローチを設計することを推奨しています。この「顧客心理7段階モデル」を活用することで、アウトバウンドとインバウンドそれぞれに最適なトークスクリプトを構築できます。
アウトバウンドの7段階アプローチ|警戒心解除から商談設定まで
アウトバウンドでは、顧客は「警戒・拒絶状態(Phase 1)」からスタートします。そのため、警戒心を段階的に解除しながら、関心を喚起していく設計が必要です。
アウトバウンドの7段階構造
| 段階 | 時間配分 | 目的 | アプローチのポイント |
| 1. オープニング | 15秒 | 警戒心最小化 | 超短時間で価値を提示、明確な時間制限 |
| 2. 価値先行 | 30秒 | 関心喚起 | 同業他社の事例・成果を即座に提示 |
| 3. 軽いヒアリング | 2分 | 現状把握 | YES/NO質問中心、3〜4問で完結 |
| 4. 解決策提示 | 2分 | 価値認識 | 課題と解決策の明確な対応提示 |
| 5. 差別化 | 30秒 | 選択理由構築 | 1つの決定的な優位性に絞る |
| 6. ソフトクロージング | 30秒 | 次回接点創出 | 15分程度の低ハードル提案 |
| 7. フォローアップ | – | 関係継続 | 資料送付と再接触の約束 |
成功のポイント
アウトバウンドでは「価値先行型」のアプローチが効果的です。従来の「課題確認から入る」スタイルでは、顧客の警戒心が解除されていない段階で質問をすることになり、拒絶反応を招きます。
代わりに、15秒以内に具体的な価値(「同業他社で営業効率35%向上」など)を提示することで、「聞く価値がある」と判断してもらい、会話を継続させます。
インバウンドの7段階アプローチ|共感構築から具体的提案まで
インバウンドでは、顧客は「軽度関心状態(Phase 3)」以上からスタートします。そのため、共感と理解を深めながら、包括的な課題把握と詳細な解決策提案を行う設計が適しています。
インバウンドの7段階構造
| 段階 | 時間配分 | 目的 | アプローチのポイント |
| 1. 感謝オープニング | 30秒 | 信頼基盤構築 | 感謝の意を最優先、丁寧な対応 |
| 2. 共感・関係構築 | 1分 | 心理的安全性確保 | 課題への深い共感、理解の表現 |
| 3. 深掘りヒアリング | 5分 | 包括的課題把握 | オープンクエスチョン、10問以上 |
| 4. 個別価値提案 | 5分 | 解決策の明確化 | 課題別カスタマイズ提案 |
| 5. 体系的差別化 | 2分 | 選択根拠の提供 | 複数の優位性を論理的に説明 |
| 6. 具体的クロージング | 1分 | 商談設定 | 1時間程度の具体的提案商談 |
| 7. 価値提供フォロー | 1分 | 関係深化 | 即座の価値提供(レポート等) |
成功のポイント
インバウンドでは「深掘りヒアリング」が最も重要なフェーズです。顧客は課題を抱えて問い合わせてきているため、表面的な課題だけでなく、根本原因や影響範囲まで把握することで、より的確な提案が可能になります。
また、フォローアップ段階では「即座の価値提供」を行います。有益なレポートやチェックリストを送付することで、次回商談への期待感を高め、関係を深化させます。
段階別の時間配分と成功指標の違い
アウトバウンドとインバウンドでは、同じ7段階でも時間配分と成功指標が大きく異なります。
時間配分の比較
| 要素 | アウトバウンド | インバウンド |
| 総通話時間目標 | 3〜5分 | 12〜18分 |
| オープニング | 15秒以内 | 30秒〜1分 |
| ヒアリング深度 | 軽い(3〜4問) | 深い(10問以上) |
| 価値提示タイミング | 即座(15秒以内) | ヒアリング後 |
| クロージング | ソフト(15分商談) | 具体的(1時間商談) |
成功指標の比較
| 指標 | アウトバウンド | インバウンド |
| 商談設定率 | 3〜8% | 45〜65% |
| 平均通話時間 | 3〜5分 | 12〜18分 |
| ヒアリング完了率 | 8〜15% | 85〜92% |
| 満足度スコア | – | 8.5/10以上 |
この違いを理解せずに、アウトバウンドでインバウンド的な長いヒアリングを行ったり、インバウンドで短時間のソフトクロージングを行ったりすると、成果は出ません。
📘 関連資料
SalesGridでは、アウトバウンド・インバウンドそれぞれに最適化されたトークスクリプトテンプレートを提供しています。「SalesGrid式 トークスクリプトテンプレート」では、8シーンに対応した実践的なスクリプトをダウンロードいただけます。

インサイドセールス立ち上げ時の使い分け戦略
インサイドセールスを立ち上げる際、アウトバウンドとインバウンドをどのように組み合わせるかは、組織の成熟度や事業フェーズによって異なります。
立ち上げ期におけるアウトバウンド・インバウンドの最適な比率
インサイドセールスの立ち上げ期では、以下のような比率設計が一般的です。
立ち上げ期(0〜6ヶ月)の推奨比率
| 状況 | アウトバウンド比率 | インバウンド比率 | 理由 |
| マーケティング基盤が未整備 | 80% | 20% | リード不足を補完 |
| マーケティング基盤が整備済み | 40% | 60% | 高確度リードを優先 |
| 新規市場への参入 | 90% | 10% | 市場開拓が最優先 |
| 既存市場での拡大 | 50% | 50% | バランス型で展開 |
立ち上げ期は「量的指標」を重視し、まずはコール数・接触数を確保することが重要です。この段階でアウトバウンドの基本スキルを習得しておくと、後のフェーズでの柔軟な対応が可能になります。
ターゲット企業の特性に応じた手法選択の判断基準
ターゲット企業の特性によって、最適な手法は異なります。
手法選択の判断マトリックス
| ターゲット特性 | 推奨手法 | 理由 |
| 大企業・エンタープライズ | アウトバウンド重視 | 意思決定者への直接アプローチが必要 |
| 中小企業・SMB | インバウンド重視 | 効率的なリーチが可能 |
| 新規市場・未開拓業界 | アウトバウンド重視 | 認知度向上が先決 |
| 成熟市場・競争激化 | インバウンド重視 | 差別化コンテンツで勝負 |
| 緊急性の高い課題 | インバウンド対応優先 | 即座の対応で商談化 |
| 潜在ニーズの掘り起こし | アウトバウンド重視 | 課題認識の促進が必要 |
成長期・成熟期へのフェーズ移行に伴う戦略シフト
組織の成熟に伴い、アウトバウンドとインバウンドの比率は変化させていく必要があります。
フェーズ別の戦略シフト
立ち上げ期(0〜6ヶ月)
- 重点:アウトバウンドスキルの習得、基本プロセスの確立
- KPI:コール数、接触数、初回ミーティング数
- 比率目安:アウトバウンド60〜80%
成長期(6ヶ月〜1年)
- 重点:効率性の向上、マーケティング連携の強化
- KPI:商談化率、リード品質スコア、引き継ぎ成功率
- 比率目安:アウトバウンド40〜60%
成熟期(1年以降)
- 重点:収益性の最大化、高度な分析活用
- KPI:受注貢献額、LTV、ROI
- 比率目安:事業特性に応じて最適化
成熟期においては、データ分析に基づいて最適な比率を継続的に見直すことが重要です。市場環境の変化や競合状況に応じて、柔軟に戦略をシフトさせていきましょう。
成果を最大化するハイブリッド戦略の実践
アウトバウンドとインバウンドを単独で運用するのではなく、両者を組み合わせた「ハイブリッド戦略」を実践することで、成果を最大化できます。
アウトバウンドで関係構築しインバウンド的深掘りへ繋げる手法
SalesGridが推奨するハイブリッドアプローチは、以下の3段階で構成されます。
ハイブリッドアプローチの設計
- 段階1:アウトバウンド手法で初回接触・関係構築
- 短時間での価値提示
- 警戒心の解除
- 次回接触の約束獲得
- 段階2:インバウンド手法で深掘りヒアリング
- 包括的な課題把握
- 信頼関係の深化
- 詳細な提案準備
- 段階3:顧客状況に応じた柔軟な対応
- 顧客の検討フェーズに合わせたアプローチ
- 適切なタイミングでのクロージング
- 継続的な関係維持
このアプローチにより、アウトバウンドの「能動的なターゲット選定」とインバウンドの「深い課題理解」の両方のメリットを活かせます。
マーケティング連携によるリード品質向上と効率化
インサイドセールスの成果を最大化するためには、マーケティング部門との緊密な連携が不可欠です。
マーケティング連携の具体的施策
| 連携項目 | 具体的な取り組み | 期待効果 |
| リード品質フィードバック | 商談化した/しなかったリードの特徴をマーケティングに共有 | リード品質の継続的向上 |
| キャンペーン効果測定 | チャネル別の商談化率・成約率を測定 | 投資対効果の最適化 |
| コンテンツ改善提案 | 顧客から聞いた課題・ニーズをコンテンツ企画に反映 | より刺さるコンテンツの作成 |
| イベント連携 | セミナー・ウェビナー後の即座なフォロー体制構築 | ホットリードの確実な商談化 |
ツール活用とデータ分析による継続的な改善サイクル
アウトバウンドとインバウンドの最適な比率は、固定的なものではありません。データ分析に基づく継続的な改善が必要です。
改善サイクルの構築
- 週次レビュー項目
- アウトバウンド/インバウンド別の商談化率
- 段階別の離脱率・ボトルネック特定
- 個人別のパフォーマンス分析
- 月次最適化項目
- 手法別ROIの算出
- 比率の見直し検討
- A/Bテストによる効果検証
- 四半期戦略見直し項目
- 市場環境・競合状況の変化への対応
- 中長期目標との整合性確認
- 組織体制・リソース配分の最適化
CRM/SFAツールを活用し、アウトバウンドとインバウンドそれぞれの活動データを一元管理することで、データドリブンな意思決定が可能になります。
📘 関連資料
インサイドセールスの立ち上げを検討されている方向けに、「インサイドセールス立ち上げチェックリスト(50項目)」を無料で提供しています。組織設計からKPI設定、ツール選定まで、見落としがちなポイントを網羅的に確認できます。

まとめ:顧客心理を起点にしたアプローチ設計がインサイドセールスの成果を変える
本記事では、アウトバウンドとインバウンドの違いを顧客心理の観点から解説してきました。最後に、重要なポイントを整理します。
アウトバウンドとインバウンドの本質的な違い
アウトバウンドとインバウンドの最も重要な違いは、接触時点での顧客心理状態です。アウトバウンドでは「警戒・拒絶状態」から、インバウンドでは「関心・積極状態」からスタートします。この違いを無視したアプローチ設計は、どれだけ努力しても成果に繋がりません。
実践のポイント
| 手法 | 顧客心理 | アプローチの要点 |
| アウトバウンド | 警戒・拒絶 | 超短時間での価値提示、段階的な信頼構築 |
| インバウンド | 関心・積極 | 深い共感と理解、包括的な課題把握 |
インサイドセールス立ち上げへの示唆
インサイドセールスを立ち上げる際は、以下の3点を意識してください。
- 顧客心理を起点にアプローチを設計する
- 同じスクリプトをアウトバウンドとインバウンドで使い回さない
- 顧客の心理状態に最適化されたトーク構造を設計する
- 組織のフェーズに応じて比率を調整する
- 立ち上げ期はアウトバウンド重視で基盤を構築
- 成長期以降はインバウンドの比率を高めて効率化
- データに基づいて継続的に改善する
- 手法別の商談化率・ROIを測定
- ボトルネックを特定し、改善サイクルを回す
SalesGridでは、「営業を科学し、成果を最大化する」というコンセプトのもと、インサイドセールスの立ち上げから運用、拡大までを支援する情報を提供しています。本記事が、皆さまのインサイドセールス成功の一助となれば幸いです。
📘 シリーズ関連記事
本記事は「インサイドセールス立ち上げ完全ガイド」シリーズの一部です。トークスクリプトの具体的な設計方法については「インサイドセールスのトークスクリプト作成ガイド|7段階構造と設計原則」をご覧ください。

よくあるご質問
質問:アウトバウンドとインバウンド、どちらから始めるべきですか?
回答:マーケティング基盤の整備状況によって判断が異なります。Webサイトからのリード獲得が月間10件以上ある場合はインバウンド対応から始め、それ以下の場合はアウトバウンドで市場開拓を行いながら、並行してマーケティング施策を強化することをおすすめします。立ち上げ期はアウトバウンドスキルを習得しておくことで、後のフェーズでの柔軟な対応が可能になります。
質問:アウトバウンドの商談化率が低いのですが、どう改善すればよいですか?
回答:まず、オープニングの15秒を見直してください。アウトバウンドでは顧客は「警戒状態」にあるため、長い自己紹介や製品説明は逆効果です。具体的な価値(「同業他社で営業効率35%向上」など)を即座に提示し、「聞く価値がある」と判断してもらうことが重要です。また、リストの質も商談化率に大きく影響するため、ターゲット選定の精度を高めることも検討してください。
質問:インバウンドリードへの対応で、どのくらいの時間で架電すべきですか?
回答:理想は問い合わせから30分以内、遅くとも当日中の架電を目指してください。HubSpotの調査によると、問い合わせから5分以内に架電した場合と30分後に架電した場合では、接続率に21倍の差があるとされています。インバウンドリードは顧客の関心が高い状態であるため、その熱量が冷めないうちに対応することが商談化率向上の鍵です。
質問:アウトバウンドとインバウンドで、担当者を分けるべきですか?
回答:組織規模や成熟度によって異なりますが、立ち上げ期は兼任で問題ありません。ただし、組織が成長し、それぞれの手法で専門性が求められるようになった段階では、SDR(Sales Development Representative:インバウンド対応)とBDR(Business Development Representative:アウトバウンド開拓)を分けることで、スキルの深化と効率化を図ることができます。
質問:テレアポとアウトバウンドインサイドセールスの違いは何ですか?
回答:最大の違いは「目的」と「時間軸」です。従来のテレアポは「アポイント獲得」を目的とし、できるだけ多くの架電を行って商談を設定することに注力します。一方、アウトバウンドインサイドセールスは「顧客の課題発見と関係構築」を目的とし、短期的なアポイント獲得だけでなく、長期的なナーチャリングも視野に入れています。また、インサイドセールスではCRM/SFAを活用したデータ管理と継続的な改善が前提となる点も大きな違いです。

