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商談プロセスとは?営業サイクル全体像から設計手順・管理・可視化のポイントまで解説

keisuke

商談が思うように進まない、と感じたことはありませんか。

「初回訪問のあと、何をすればいいかわからない」「案件が途中で止まってしまうけれど、原因がつかめない」「同僚は同じ商材で成果を出しているのに、自分だけ空回りしている気がする」──こうした悩みを抱えている方は、決して少なくありません。

実は、商談の進め方に「正解の型」がないまま走り続けていることが、成果のばらつきの大きな原因になっていることがあります。しかも、商談を個別に改善しようとしても成果が出にくいのは、商談プロセスが営業サイクル全体の一部だからです。

この記事では、まず営業サイクルの全体像の中で商談プロセスがどこに位置するかを整理し、その上で設計の手順を5つのステップで解説します。失注した案件を次に活かす「循環の仕組み」についても触れていますので、すぐに使えるテンプレートとあわせて、自社の商談の流れを一緒に作っていきましょう。


なぜ商談がうまく進まないのか── 3つの構造的な原因

商談が停滞する原因を「提案力不足」や「ヒアリングが浅い」で片づけてしまうケースは多いものです。しかし実際には、個人のスキルではなくプロセスの設計不足が根本原因になっていることがほとんどです。

具体的には、次の3つの構造的な問題が絡み合っています。

① 商談の「段階」が定義されていない

「アポを取って、訪問して、提案する」──おおまかにはこう理解していても、各段階で何をすれば次に進められるのか、判断基準が曛昧なケースがあります。すると「とりあえず提案書を出したけど反応がない」という状態が生まれます。

② 進捗の基準が人によって違う

ある担当者は「担当者と話せた」を進捗と捉え、別の担当者は「決裁者の合意を得た」を進捗と捉えている。このズレがあると、パイプラインの精度は上がりません。マネージャーが的確なアドバイスをしようにも、案件の実態が見えない状態になります。

③ 失注が「終わり」になっている

多くの営業チームでは、失注した案件はそのまま放置されがちです。しかし、失注は「今のタイミングでは合わなかった」だけかもしれません。失注案件を再び育成する仕組みがなければ、せっかく築いた関係がリセットされてしまいます。

つまり、商談プロセスの問題は「個人の能力」ではなく、「チームの共通言語がない」ことと「案件の循環が設計されていない」ことに起因しているのです。35,000件の商談を分析したニール・ラッカムの研究でも、成果を出し続ける営業チームは個人の才能ではなく、再現可能なプロセスを持っていることが示されています。


まず全体像を押さえる── 営業サイクルの中で商談プロセスはどこにあるか

商談プロセスの設計に入る前に、営業活動の全体像を一度俯瞰してみましょう。ここを押さえておくと、商談プロセスをどこまで設計すればいいのか、その前後で何が起きているのかが明確になります。

BtoB営業の活動は、大きく3つの機能に分かれます。

① リード獲得(Lead Generation)

見込み顧客との最初の接点を作る活動です。Webからの問い合わせ、セミナー参加、資料ダウンロードなどが該当します。ここでの目標は「量」── まず見込み顧客の母数を確保すること。

② リード育成(Lead Relationship Management)

獲得したリードに対して、情報提供やフォローを通じて関心度を高めていく活動です。まだ課題が漠然としているリードに対して、いきなり商談を仕掛けても成果は出ません。リードの温度感を「冷たい」「温かい」「熱い」のように段階的に管理し、商談に移れるタイミングを見極めます。ここでの目標は「質」── 商談に値するリードを見㚕めること。

③ 商談サイクル(Sales Cycle)

育成されたリードに対して、提案から受注・失注までを回す活動です。この記事で扱う「商談プロセス」は、この③の部分にあたります。 ここでの目標は「回転数」── 質の高い商談を、いかに効率よく回すか。

リード獲得 → リード育成 → 商談サイクル → 受注
  (量)           (質)        (回転数)

この3つは分断されたバケツリレーではなく、互いにフィードバックし合う循環系です。たとえば、商談で失注した案件はリード育成のフェーズに戻し、タイミングが変われば再度商談に入れる。この循環が設計されているかどうかが、組織としての営業力の差になります。

営業プロセス全体の設計については営業プロセスの解説:可視化方法とステップのポイントで詳しく取り上げています。ここからは、商談サイクルの設計に集中していきましょう。


商談プロセスを設計する5つのステッブ

ここからは、商談プロセスを実際に設計するための手順を解説します。いきなり完璧なものを作ろうとする必要はありません。まずはシンプルな型を作り、運用しながら磨いていくのがおすすめです。

ステップ1:顧客の検討フェーズに合わせて「段階」を分ける

商談プロセスの段階を考えるとき、「自社が何をするか」から組み立てがちですが、それだと営業側の都合を顧客に押し付ける形になりかねません。

大切なのは、顧客がどの検討段階にいるかを起点にすること。顧客の意思決定には段階があり、それぞれの段階で求めている情報やアクションが異なります。

たとえば、典型的なBtoB商談であれば次のような対応関係になります。

顧客の検討段階顧客の状態営業側の段階営業の主なアクション
課題を認識し始めた「何かうまくいっていない」と感じている初回接触課題件説を提示し、共感を得る
解決策を探し始めた複数の選択肢を調べている課題ヒアリング顧客の課題を深掘りし、優先順位を一緒に整理する
選択肢を比較している2-3社に絞って比較検討中提案自社ソリューションの価値を具体的に提示する
社内で合意を取っている担当者は納得、決裁者への誌明が必要検討・交渉ROI誌明資料の提供、条件調整
最終決定を下す契約書のレビュー段階クロージング契約条件の最終確認、手続きサポート

このように「顧客が今どこにいるか」を軸に段階を設計すると、営業アクションの精度が格段に上がります。

ポイントは、段階を増やしすぎないこと。最初は5〜7段階で十分です。細かくしすぎると運用が続きません。

ステップ2:各段階の「移行判定基準」を決める

段階を定義したら、それぞれの段階がいつ「次に進めるか」の判定基準を明文化します。これが、チームの共通言語になります。

ここで大切なのは、「なんとなく進んでいる」ではなく、事実ベースの基準を置くことです。

段階移行判定基準(次へ進む条件)
初回接触 → 課題ヒアリング顧客が課題について具体的な発言をしており、次回の面談日程が確定した
課題ヒアリング → 提案顧客の課題を3つ以上特定し、優先順位について合意を得た
提案 → 検討・交渉提案内容に対して意思決定者を含むレビューの場が設定された
検討・交渉 → クロージング見積もり条件について榀ね合意し、契約手続きの話行に入った
クロージング → 受注発注の意思確認を書面で得た

「担当者と話せた」のような書昧な基準ではなく、「顧客が○○と発言した」「○○の場が設定された」のように客観的に確認できる基準にすることで、チーム全員の認識が揃います。

ステップ3:各段階の「やること」リストを作る

移行判定基準が決まったら、各段階で営業担当が具体的にやるべきことを洗い出します。

たとえば「課題ヒアリング」段階であれば:

  • 事前に顧客企業のIR・ニュースを確認する
  • 仮説を3つ以上用意してヒアリングに臨む
  • ヒアリング後24時間以内に議事録を共有する
  • 次のステップ(提案日程等)をその場で合意する

このリストがあることで、経験が浅いメンバーでも「次に何をすればいいか」が明確になります。商談前の事前準備のコツも参考にしてみてください。

ステップ4:管理ツールに落とし込む

設計したプロセスは、日常的に使えるツールに反映させます。ExcelやGoogleスプレッドシートで始めるのも良いですし、SFA(Sales Force Automation)ツールを導入するのも有効です。

ツールを選ぶ際のポイントは3つあります。

  • 入力の手間が小さいこと ── 入力が面倈だと、データが溜まりません
  • 進捗が一覧で見えること ── マネージャーがボトルネックを発見できる状態
  • チームで同じ画面を見られること ── 情報の属人化を防ぐ

最初から高機能なSFAを入れる必要はありません。まずはシンプルな管理表で回してみて、「ここが不便だ」と感じたポイントからツールを検討するのが、無理のない進め方です。

ステップ5:振り返りの仕組みを入れる

商談プロセスは、作って終わりではなく「使いながら改善する」ものです。週次や月次で、以下のような振り返りを行いましょう。

  • どの段階で案件が止まりやすいか(ボトルネック分析)
  • 受注した案件と失注した案件で、どの段階に違いがあったか
  • 移行判定基準は実態に合っているか、修正が必要か

この振り返りの積み重ねが、チームの商談力を底上げしていきます。


失注を「次の受注」に変える── 循環型の商談管理

商談プロセスの設計でもう一つ押さえておきたいのが、失注した案件をどう扱うかです。

多くの営業チームでは、失注 = パイプラインから消える、という運用になっています。しかし、BtoB営業では「今は合わないけれど、半年後なら状況が変わるかもしれない」というケースが実は少なくありません。

商談プロセスを設計する際には、失注案件を2つのタイプに分けて管理してみてください。

タイプA:商談に入る前の段階で見送りになった案件

たとえば、初回接触で話は聞いてもらえたものの、課題が具体化しておらず「今はタイミングではない」と判断されたケース。このタイプは、リード育成のフェーズに戻して、情報提供を続けながら再度アプローチするタイミングを見極めます。

タイプB:商談を進めた結果、失注した案件

提案まで進んだものの、予算・競合・社内事情などで失注したケース。このタイプは、失注理由と顧客の状況を記録した上で、一定期間後にフォローアップの対象とします。

受注 ← 商談プロセス → 失注
                         ↓
                  タイプAは → リード育成に戻す
                  タイプBは → 失注理由を記録 → 一定期間後にフォロー
                         ↓
                     再度商談へ(循環)

こうした循環の仕組みを持っておくことで、パイプラインが枯渇しにくくなります。「新規リードを獲得し続けなければ」というプレッシャーだけに頼らず、既存の資産を活かす構造です。

インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化では、ISとFSの間でこの循環をどう設計するかについて詳しく解説しています。


【テンプレート①】商談プロセス設計シート

以下のテンプレートを使って、自社の商談プロセスを整理してみてください。

■ 商談プロセス設計シート

【自社情報】
・商材名:_____________
・主なターゲット業種:_____________
・平均商談期間:_____________

【商談プロセス定義(顧客検討フェーズ連動型)】

| # | 顧客の検討段階 | 営業側の段階名 | 移行判定基準 | 主なアクション | 必要な資料 |
|---|---------------|--------------|------------|--------------|----------|
| 1 | 課題認識 | 初回接触 | 課題に関する具体的発言+次回面談確定 | 課題件説の提示 | 会社紹介資料 |
| 2 | 解決策探索 | 課題ヒアリング | 課題3つ以上特定+優先順位合意 | 仮説検証型ヒアリング | ヒアリングシート |
| 3 | 選択肢比較 | 提案 | 意思決定者含むレビュー会議設定 | ソリューション提案 | 提案書 |
| 4 | 社内合意形成 | 検討・交渉 | 見積もり条件の概ね合意 | 条件調整、ROI説明 | 見積書 |
| 5 | 最終決定 | クロージング | 発注意思確認(書面) | 契約手続きサポート | 契約書 |
| 6 | — | 受注 | 契約締結 | オンボーディング引き継ぎ | 引き継ぎ資料 |

【振り返り用チェックリスト(週次)】
□ 今週、どの段階に何件の案件があるか確認した
□ 2週間以上動きがない案件を洗い出した
□ 失注案件の原因を1件以上分析し、タイプA/Bに分類した
□ タイプA失注はリード育成リストに戻した
□ 移行判定基準の修正が必要な段階がないか検討した

【テンプレート②】失注分析シート

■ 失注分析シート

【案件情報】
・企業名:_____________
・担当者名:_____________
・商材:_____________
・商談期間:____年__月__日 〜 ____年__月__日

【失注分類】
□ タイプA(商談前段階の見送り)
□ タイプB(商談進行後の失注)

【失注時の段階3��
□ 初回接触  □ 課題ヒアリング  □ 提案  □ 検討・交渉  □ クロージング

【失注理由(主要因に○、副要因に△)】
□ 予算(予算がない/合わない)
□ タイミング(今ではない/他の優先事項がある)
□ 競合(他社を選択)
□ 社内事情(組織変更/担当者異動)
□ ニーズ不一致(課題と提案のフィットが弱い)
□ その他:_____________

【再アプローチの見込み】
□ 3ヶ月以内に再接触  □ 半年後に再接触  □ 1年以上先  □ 見込みなし

【次回アクション】
・内容:_____________
・予定日:____年__月__日

テンプレートはあくまで出発点です。1〜2ヶ月運用してみて、自社の実態に合わせて段階の追加・統合を行ってください。


商談プロセスを「見える化」するための3つの視点

商談プロセスを設計したら、次に大切なのが可視化です。可視化の目的は「問題を早く見つけて、早く手を打つ」こと。やみくもにダッシュボードを作るのではなく、以下の3つの視点で見える化すると効果的です。

視点1:パイプライン全体を俯瞰する

各段階に何件の案件があるかを一覧で把握します。特定の段階に案件が溜まっていれば、そこがボトルネック。たとえば「提案」段階に案件が集中しているなら、提案書の質やタイミングに改善の余地があるかもしれません。

視点2:段階ごとの移行率を追う

各段階から次の段階に進む割合(移行率)を追跡します。〈課題ヒアリング→提案」の移行率が50%で、「提案→検討」が80%なる、改善の優先度はヒアリングの質にあると判断できます。

ここに先ほどの失注分析を組み合わせると、さらに解像度が上がります。たとえば移行率が低い段階で「タイミング起因の失注」が多ければ、リード育成の仕組みの問題。「ニーズ不一致の失注」が多ければ、ヒアリングの深さや提案の切り口の問題と切り分けられます。

視点3:商談サイクル全体の回転数を意識する

営業組織の売上は、突き詰めると次のシンプルな構造で決まります。

売上 = 商談の回転数 × 受注率 × 平均単価

受注率や平均単価を劇的に改善するのは簡単ではありませんが、商談の回転数は、プロセス設計・失注循環の仕組み・停滞案件の早期発見で構造的に伸ばすことができます。「1件あたりの商談期間を短くする」だけでなき、「パイプラインに常に一定数の案件がある状態を保つ」ことが、回転数を上げるポイントです。

フィールドセールスのKPI設計とあわせて設計すると、数値管理の精度がさらに上がります。


まとめ:明日から始める3つのアクション

商談プロセスは、一度に完璧なものを作る必要はありません。まずは小さく始めて、運用しながら磨いていくのが最も実跕的なアプローチです。

明日から始められる3つのこと:

  1. 自社の商談を「顧客の検討段階」に沿って5〜7段階に分けてみる ── 紙でもホワイトボードでもOK。「自社が何をするか」ではなく「顧客が今どこにいるか」を軸にするのがポイントです
  2. 各段階の移行判定基準を1行で書き出す ── 「何が確認できたら次の段階に進むのか」をチームで共有してみてください。曖昧さが減るだけで、パイプラインの精度が変わります
  3. 直近の失注案件を1件、タイプA/Bに分類してみる ── 「終わった案件」ではなく「循環の中にある案件」として捉えることで、再アプローチの可能性が見えてきます

商談プロセスの設計は、営業個人のスキルに頼る状態から、チームとして再現性のある営業を実現するための第一歩c��す。そして、失注を次に活かす循環の仕組みを持つことが、パイプラインを枯渇させない組織を作る鍵になります。テンプレートを活用しながら、ぜひ自社に合った形を見つけていってください。

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BtoB営業メディア
「進化する営業が事業成長を彩る」をテーマに掲げるSalesGrid編集部は、BtoB営業の未来を切り拓くメディアを運営。AIやチームビルディングを含む幅広いトピックで、営業の可能性を多元的に探求し、成果を追求するすべての営業パーソンを支援します。
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