インサイドセールスのトークスクリプト作成ガイド|7段階構造と設計原則
「トークスクリプトを作ったのに、現場で使われない」「新人が育つまでに時間がかかりすぎる」「商談化率が安定しない」──インサイドセールス組織を運営する中で、こうした課題に直面していないでしょうか。
トークスクリプトは、単なる「話すべき内容のカンペ」ではありません。営業プロセスを科学化し、成果の再現性を確保するための戦略的ツールです。適切に設計されたスクリプトは、新人を短期間で戦力化し、チーム全体のパフォーマンスを底上げし、データに基づく継続的な改善を可能にします。
本記事は、SalesGridが提唱する「インサイドセールス立ち上げ完全ガイド」シリーズの第6章として、顧客心理に基づく科学的なトークスクリプトの設計原則と、実践的な作成手順を徹底解説します。7段階のトーク構造、アウトバウンド・インバウンド別の設計ポイント、すぐに使えるテンプレートまで、現場で成果を出すための知見を余すことなくお伝えします。
トークスクリプトとは?インサイドセールスにおける本質的価値
トークスクリプトの定義と役割
トークスクリプトとは、顧客との電話やオンライン商談において、営業担当者が話すべき内容や質問の流れを体系化した「会話の設計図」です。台本やシナリオとも呼ばれますが、インサイドセールスにおけるスクリプトは、単なる読み上げ原稿とは根本的に異なります。
効果的なトークスクリプトには、以下の要素が含まれます。
| 要素 | 説明 |
| 会話の構造 | オープニングからクロージングまでの流れ |
| 質問設計 | 顧客のニーズや課題を引き出すためのヒアリング項目 |
| 価値提案 | 製品・サービスのメリットを伝えるための説明内容 |
| 分岐パターン | 顧客の反応に応じた対応方法 |
| 目標設定 | 各段階で達成すべきゴール |
スクリプトの役割は、「何を話すか」を決めることだけではありません。「なぜその順番で話すのか」「顧客のどのような心理状態に働きかけるのか」という戦略的な意図を組織全体で共有し、成果を再現可能にすることが本質的な価値です。
テレアポとの決定的な違い──「売り込み」から「課題解決」へ
インサイドセールスのトークスクリプトを設計する際、従来のテレアポとの違いを明確に理解することが重要です。この違いを理解しないまま作成されたスクリプトは、現場で機能しません。
| 項目 | テレアポ | インサイドセールス |
| 目的 | アポイント獲得 | 見込み顧客の育成と商談機会の創出 |
| 時間軸 | 短期的(1回の電話で完結) | 中長期的(複数回の接触で関係構築) |
| 顧客との関係 | 一方的な売り込み | 双方向のコミュニケーション |
| 成功指標 | アポ獲得数 | 商談化率、受注貢献 |
| スクリプトの性質 | 固定的(読み上げ型) | 柔軟(会話の流れに応じて調整) |
テレアポが「今すぐ会ってください」と迫るのに対し、インサイドセールスは「御社の課題を理解し、解決策を一緒に考えたい」というスタンスで臨みます。この根本的な姿勢の違いが、スクリプト設計のすべてに影響を与えます。
スクリプトが果たす3つの核心的役割
インサイドセールス組織において、トークスクリプトは以下の3つの核心的な役割を果たします。
- 成果の再現性確保
- 優秀な営業担当者の成功パターンを言語化し、チーム全体に展開することで、属人的なスキルに依存しない安定した成果創出が可能になります。「あの人だからできる」という状態から、「誰でも一定水準以上の成果を出せる」組織への転換です。
- 継続的改善の基盤
- スクリプトという「基準」があることで、成功・失敗の要因を客観的に分析できます。どの段階で顧客が離脱しているのか、どのフレーズが効果的なのかをデータで検証し、A/Bテストによる科学的な改善が可能になります。
- 組織的学習の促進
- 個人のノウハウをチーム資産として蓄積し、横展開できます。成功事例・失敗事例を共有する文化が醸成され、組織全体の営業力が継続的に向上していきます。新人教育においても、「何を学ぶべきか」が明確になり、育成の効率化に直結します。
なぜインサイドセールスにトークスクリプトが必要なのか
属人化を排除し、成果の標準化を実現する
多くの営業組織が抱える課題の一つが「属人化」です。トップセールスは成果を出すものの、その手法が組織に共有されず、他のメンバーは独自のやり方で試行錯誤を続ける──この状態では、組織としての成長に限界があります。
トークスクリプトは、この属人化を解消するための最も効果的なツールです。
属人化がもたらす問題:
- 成果のバラツキが大きく、予測可能性が低い
- トップセールスが退職すると、ノウハウも失われる
- 新人が「見て学ぶ」しかなく、育成に時間がかかる
- 改善ポイントが個人の感覚に依存し、組織的な最適化ができない
スクリプト導入による標準化の効果:
- チーム全体のパフォーマンスが底上げされる
- 成功パターンが組織資産として蓄積される
- データに基づく客観的な評価・改善が可能になる
- 担当者の異動・退職による影響を最小化できる
新人育成を加速させる──3ヶ月で戦力化するための土台
インサイドセールス人材の平均在職期間は17.6ヶ月と、他職種と比較して短い傾向にあります(業界調査より)。この状況下で、新人を早期に戦力化することは組織の持続可能性に直結する重要課題です。
トークスクリプトは、新人育成において以下のような効果を発揮します。
- オンボーディング期間の短縮
- 明確なスクリプトがあることで、新人は「何を話すべきか」「どのような順序で進めるべきか」を最初から理解できます。「先輩の電話を聞いて覚える」という非効率な学習から脱却し、体系的な知識習得が可能になります。
- 自己評価・振り返りの基準
- スクリプトという基準があることで、自分の通話を客観的に評価できます。「スクリプトのどの部分ができていないか」「どこで顧客が離脱しているか」を具体的に把握し、改善点を明確化できます。
- ロールプレイングの質向上
- スクリプトに基づいたロープレを行うことで、実践的なトレーニングが可能になります。フィードバックも「スクリプトのこの部分の実行度が低い」など、具体的で建設的なものになります。
データドリブンな改善サイクルを回すための必須要素
「営業を科学する」というSalesGridのコンセプトにおいて、データドリブンな改善は中核的な価値です。トークスクリプトは、この改善サイクルを回すための必須要素となります。
スクリプトがあることで、以下のような分析・改善が可能になります。
| 分析項目 | 測定方法 | 改善への活用 |
| 段階別通過率 | 各Phaseでの継続率を測定 | ボトルネック特定と集中改善 |
| 効果的フレーズ | 成功率が高い表現を抽出 | 標準スクリプトへの反映 |
| 離脱ポイント | 顧客が切電するタイミング分析 | 該当箇所のスクリプト修正 |
| 個人別遵守率 | スクリプト通りの実行度を測定 | 個別指導・育成計画への反映 |
PDCAサイクルを効果的に回すためには、「Plan(計画)」の部分にスクリプトが、「Check(評価)」の部分にスクリプト遵守率や段階別成功率の測定が必要です。スクリプトなしでは、何を改善すべきかすら明確になりません。
導入メリットと陥りがちな落とし穴
トークスクリプト導入のメリット:
- 商談化率の安定化と向上
- 新人の早期戦力化(育成期間の短縮)
- 組織的なノウハウ蓄積
- データに基づく継続的改善
- 品質の標準化による顧客満足度向上
陥りがちな落とし穴と対策:
| 落とし穴 | 原因 | 対策 |
| 棒読みになる | 暗記・読み上げを強制 | 会話の「意図」を理解させる育成 |
| 現場で使われない | 実務と乖離した設計 | 現場担当者の意見を反映した作成 |
| 硬直的な運用 | 一度作って終わり | 定期的な見直し・更新の仕組み化 |
| 顧客対応が画一的に | 分岐パターンの不足 | 想定質問・反論への対応を充実 |
【SalesGrid式】顧客心理に基づく7段階トーク構造
顧客心理遷移モデルとスクリプト設計の関係性
効果的なトークスクリプトを設計するためには、顧客の心理状態がどのように変化していくかを理解することが不可欠です。SalesGridでは、顧客心理の変化を7段階のフェーズで捉え、各段階に最適化されたアプローチを設計しています。
顧客心理遷移の7段階:
| Phase | 顧客の心理状態 | スクリプトの目的 |
| 1 | 警戒・拒絶 | 継続意欲の喚起 |
| 2 | 慎重受容 | 信頼関係の基盤構築 |
| 3 | 軽度関心 | 課題認識の顕在化 |
| 4 | 積極関心 | ニーズの具体化 |
| 5 | 解決策検討 | 自社価値の認知 |
| 6 | 導入検討 | 行動への動機付け |
| 7 | 商談準備完了 | 次回アクションの確定 |
この心理遷移を理解することで、「なぜこの順番で話すのか」「なぜこのタイミングでこの質問をするのか」という戦略的意図が明確になります。スクリプトは、この心理遷移を促進するための「仕掛け」として設計されるべきです。
Phase 1:オープニング(0-30秒)──信頼関係の第一歩
オープニングは、顧客との最初の接点です。この段階での顧客心理は「警戒・拒絶」状態であり、特にアウトバウンドコールでは「早く終わらせたい」という強い欲求を持っています。
オープニングの目的:
- 警戒心を最小化する
- 会話を継続する意欲を喚起する
- 「この人の話は聞く価値がある」と感じさせる
必須要素:
- 簡潔な自己紹介(会社名・氏名)
- 電話の目的を明確に伝える
- 所要時間の提示(心理的ハードルを下げる)
効果的なオープニング例文:

〇〇会社の△△と申します。本日は、営業チームの生産性向上についてお役に立てる情報をお伝えしたく、お電話いたしました。
2-3分程度でお話しできればと思うのですが、今お時間いただけますでしょうか?
NG例と改善ポイント:
| NG例 | 問題点 | 改善案 |
| 「お忙しいところ恐れ入ります。株式会社〇〇の営業部第一課の△△と申します。本日は弊社の新製品についてご案内したく…」 | 長すぎる、売り込み感が強い | 簡潔に、価値を先に提示 |
| 「ご担当者様でいらっしゃいますか?」 | 受付突破を意識しすぎて不自然 | 相手への敬意を示しつつ自然に |
成功指標:
- 15秒以内完結率:85%以上
- 30秒継続率:25-35%(アウトバウンド)
Phase 2:アイスブレイク・関係構築(30秒-2分)──警戒心の解除
オープニングで会話継続の了承を得たら、次は関係構築のフェーズです。ここでの目的は、顧客の警戒心を解除し、「この人になら話しても良いかもしれない」と感じさせることです。
アイスブレイクの目的:
- 警戒心を緩和する
- 「聞く価値がある」という認識を強化する
- ヒアリングへの準備を整える
効果的なアプローチ:
1. 事前調査に基づく言及

貴社のWebサイトを拝見しまして、〇〇事業で積極的に展開されているんですね。
私どもも同じ業界のお客さまを多数支援しておりまして…
2. 価値先行型の情報提供

実は、貴社と同じ業界の〇〇社様で、営業チームの生産性を40%向上させた事例があるのですが、3つのポイントがありまして…少しお聞きいただけますか?
3. 共感・理解の表現

この時期、営業目標の達成に向けて追い込みの時期かと思います。
多くの企業様が同じような課題に直面されていまして…
アウトバウンドとインバウンドの違い:
| 項目 | アウトバウンド | インバウンド |
| 時間 | 15-45秒(短く) | 30秒-2分(丁寧に) |
| アプローチ | 価値先行型 | 共感・理解型 |
| 重点 | 関心喚起 | 信頼深化 |
Phase 3:課題発見・ヒアリング(2-5分)──ニーズの深掘り
ヒアリングは、トークスクリプトの中核となるフェーズです。ここでの質の高い質問が、その後の提案の説得力を左右します。
ヒアリングの目的:
- 顧客の現状と課題を正確に把握する
- 潜在的なニーズを顕在化させる
- 提案の根拠となる情報を収集する
効果的なヒアリング手法──SPIN話法の活用
SPIN話法は、顧客の課題認識を深め、解決への動機付けを行うための質問フレームワークです。
| 質問タイプ | 目的 | 例 |
| Situation(状況質問) | 現状把握 | 「現在の営業チームは何名くらいでしょうか?」 |
| Problem(問題質問) | 課題の認識 | 「営業効率化について、お困りのことはありますか?」 |
| Implication(示唆質問) | 影響の認識 | 「その課題を放置すると、年間でどの程度の機会損失になりそうですか?」 |
| Need-payoff(解決質問) | 解決価値の認識 | 「もしその課題が解決できたら、どのような変化がありそうですか?」 |
アウトバウンドとインバウンドの質問設計の違い:
アウトバウンド(軽量ヒアリング型):
- YES/NO中心の簡単な質問
- 3-4問程度で完結
- プライベート情報は避ける

営業効率化について、何か取り組まれていることはありますか?
営業チームの生産性に課題を感じることはありますか?
インバウンド(深掘りヒアリング型):
- オープンクエスチョンを多用
- 10-15問の体系的ヒアリング
- 根本原因まで深掘り

具体的にはどのような状況でお困りでしょうか?
それはいつ頃から感じていらっしゃいますか?
他にも関連してお困りのことはございますか?
Phase 4:価値提案・解決策提示(5-8分)──具体的なメリット訴求
ヒアリングで把握した課題に対して、具体的な解決策と価値を提示するフェーズです。
価値提案の目的:
- 顧客の課題と自社ソリューションの関連性を明示する
- 具体的なメリットと効果を伝える
- 「この会社なら解決できそう」という期待を醸成する
効果的な価値提案の構造:

【課題の再確認】
先ほどお聞かせいただいた〇〇の課題ですが…

【解決策の提示】
弊社の△△ソリューションで解決が可能です。

【具体的な事例と数字】
実際に、□□社様では導入後3ヶ月で商談化率が35%向上しました。

【顧客にとってのメリット】
御社の場合、年間で約〇〇円のコスト削減が見込めます。
提案時の重要ポイント:
| ポイント | 説明 | 具体例 |
| 課題との紐付け | ヒアリング内容を引用 | 「先ほどおっしゃっていた〇〇の課題に対して…」 |
| 具体的な数字 | 抽象的表現を避ける | 「効率化できます」→「工数を40%削減できます」 |
| 事例の活用 | 類似企業の成功事例 | 「同じ業界の〇〇社様では…」 |
| ベネフィット訴求 | 機能ではなく価値 | 「この機能があります」→「これにより〇〇が実現できます」 |
Phase 5:競合差別化・独自性訴求(8-9分)──選ばれる理由の明示
顧客は複数の選択肢を比較検討しています。このフェーズでは、なぜ自社を選ぶべきかを明確に伝えます。
差別化訴求の目的:
- 競合他社との違いを明確にする
- 自社独自の強みを印象付ける
- 選択の判断材料を提供する
効果的な差別化フレーズ:

他社様との一番の違いは、弊社独自の〇〇技術です。
これにより、従来の手法では不可能だった△△が実現でき、□□社様では競合を上回る成果を達成されています。
差別化の3つの軸:
| 軸 | 説明 | 訴求例 |
| 機能・技術 | 独自の機能や技術 | 「業界唯一の〇〇機能により…」 |
| 実績・信頼 | 導入実績やサポート体制 | 「200社以上の導入実績があり…」 |
| コスト・効率 | 価格優位性や効率性 | 「競合比で30%のコスト削減が可能…」 |
注意点:
- 競合を直接批判しない
- 客観的な事実に基づいて説明する
- 顧客にとっての価値に変換して伝える
Phase 6:クロージング・次回アクション(9-10分)──商談化への誘導
クロージングは、会話を具体的な次のステップにつなげるフェーズです。ここでの曖昧さが、商談化率を大きく左右します。
クロージングの目的:
- 具体的な次回アクションを設定する
- 商談(アポイント)を獲得する
- 継続的な関係構築の道筋をつける
効果的なクロージングの構造:

【提案内容の要約】
本日お話しした〇〇について…

【次回アクションの提案】
詳細は実際の導入事例をお見せしながらご説明した方が分かりやすいと思います。

【具体的な日程調整】
来週、30分程度でお時間をいただけませんでしょうか?
〇曜日の午後か、△曜日の午前はいかがでしょうか?
アウトバウンドとインバウンドのクロージングの違い:
| 項目 | アウトバウンド | インバウンド |
| アプローチ | ソフトクロージング | 具体的クロージング |
| 提案する商談時間 | 15-30分(短時間) | 60-90分(詳細) |
| 期待する成果 | 関心喚起、次回接触承諾 | 商談設定、決裁者同席 |
クロージング成功のポイント:
- 二者択一の質問で選択を促す
- 具体的な日時を提示する
- 商談で得られる価値を明示する
- 相手の状況・都合を配慮する
Phase 7:フォローアップ・関係継続──リード育成への接続
すべての電話が即座の商談につながるわけではありません。このフェーズでは、商談化に至らなかった場合の関係継続の道筋をつけます。
フォローアップの目的:
- 継続的な接触の機会を確保する
- リードとしての関係を維持する
- 将来の商談機会につなげる
効果的なフォローアップフレーズ:

承知いたしました。それでは、まずは弊社の詳細資料をお送りさせていただき、ご検討いただいた後に改めてご連絡させていただくということでよろしいでしょうか?
フォローアップの具体的なアクション:
| アクション | 目的 | タイミング |
| 資料送付 | 情報提供、関心維持 | 通話終了後即日 |
| お礼メール | 関係性の確認 | 資料送付と同時 |
| 再コール | 検討状況の確認 | 1-2週間後 |
| メルマガ登録 | 継続的な情報提供 | 許諾を得て登録 |
アウトバウンドとインバウンドで変わるスクリプト設計
顧客心理状態の決定的な違いを理解する
トークスクリプトを設計する上で、アウトバウンドとインバウンドでは顧客の心理状態が根本的に異なることを理解する必要があります。
| 項目 | アウトバウンド | インバウンド |
|---|---|---|
| 心理状態 | 予期しない接触への警戒・拒絶 | 自発的な問い合わせによる積極性 |
| 時間意識 | 「今すぐ終わらせたい」 | 解決までの適切な時間は受容 |
| 情報開示 | 極めて慎重、最小限 | 解決のためなら比較的オープン |
| 購買意欲 | 潜在的~無関心 | 顕在化~検討段階 |
この違いを無視したスクリプトは、現場で機能しません。アウトバウンドで長々とヒアリングしようとすれば切電され、インバウンドで表面的な対応をすれば信頼を失います。
アウトバウンド向けスクリプトの設計ポイントと例文
基本コンセプト:「警戒心の段階的解除」
アウトバウンドでは、顧客の警戒心が最も高い状態からスタートします。スクリプトの設計は、この警戒心をいかに早く、自然に解除できるかがポイントです。
設計原則:
- 超短時間で価値を提示する
- 押し売り感を排除する
- 相手の時間を尊重する姿勢を示す
- 次回接触への道筋をつける
アウトバウンド用スクリプト例文(新規開拓):

【オープニング:15秒】
〇〇会社の△△です。営業効率を35%向上させる方法について、2分だけお時間いただけますか?

【価値先行:30秒】
貴社と同じ業界の□□社様で、営業チームの生産性を40%向上させた事例があります。3つのポイントがあるのですが、少しお聞きいただけますか?

【軽いヒアリング:2分】
営業効率化について、何か取り組まれていることはありますか?
現在の営業チームは何名くらいでしょうか?
競合他社との差別化で課題を感じることはありますか?

【価値提案:2分】
お聞きした課題は、弊社の〇〇システムで解決できます。
△△社様では3ヶ月で商談化率35%向上、営業工数40%削減を実現しました。

【ソフトクロージング:30秒】
詳細は実際の改善事例をお見せしながらご説明したほうが分かりやすいです。
今度15分程度でお時間をいただけませんでしょうか?
目標時間:3-5分で完結
インバウンド向けスクリプトの設計ポイントと例文
基本コンセプト:「積極性の最大限活用」
インバウンドでは、顧客が自ら問い合わせてきているため、積極的な関心を持っています。この積極性を最大限活用し、深い関係構築と具体的な商談設定を目指します。
設計原則:
- 丁寧な対応で信頼を構築する
- 深いヒアリングで課題を網羅的に把握する
- 個別最適化された提案を行う
- 具体的な次ステップを設定する
インバウンド用スクリプト例文(問い合わせ対応):

【オープニング:30秒】
お電話ありがとうございます。〇〇会社の△△と申します。
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
どのようなことでお困りでしょうか?

【共感・関係構築:1分】
〇〇でお困りということですね。実は同じようなお悩みをお持ちの企業様が多くいらっしゃいます。まず現在の状況を詳しく教えていただけますか?

【深掘りヒアリング:5分】
具体的にはどのような状況でしょうか?
それはいつ頃からでしょうか?
他にも関連してお困りのことはございますか?
現在、何か対策を検討されていますか?
この中で、特に優先度が高いのはどちらでしょうか?

【個別価値提案:5分】
1つ目の〇〇課題には△△で対応、2つ目の□□課題には◇◇で解決できます。
貴社の場合、特に〇〇の部分が重要で…

【多面的差別化:2分】
弊社の強みは3つあります。1つ目は〇〇技術、2つ目は△△サポート体制、3つ目は□□の実績です。貴社の課題に対しては、特に1つ目の〇〇が…

【具体的クロージング:1分】
今お聞かせいただいた課題を解決するために、現状の詳細分析と貴社専用の改善プランをご提案したいと思います。
来週、1時間程度でお時間をいただけませんでしょうか?
目標時間:12-18分
ハイブリッド戦略──状況に応じた柔軟な切り替え
実際の営業現場では、アウトバウンドとインバウンドの境界は曖昧です。例えば、過去にウェビナーに参加した見込み顧客へのフォローコールは、純粋なアウトバウンドでもインバウンドでもありません。
ハイブリッドアプローチの設計:
| 段階 | アプローチ | 目的 |
| Phase 1-2 | アウトバウンド型 | 効率的な関係構築 |
| Phase 3-4 | インバウンド型 | 深いニーズ把握 |
| Phase 5-7 | 状況に応じて調整 | 柔軟な対応 |
切り替えの判断基準:
- 顧客の反応(積極的か消極的か)
- 質問の深さ(表面的か具体的か)
- 時間の余裕(急いでいるか余裕があるか)
- 情報開示の度合い(慎重かオープンか)
顧客の反応を見ながら、リアルタイムでアプローチを調整できるスキルが、トップセールスとの違いを生みます。そのためにも、両方のパターンを理解し、練習しておくことが重要です。
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成果を出すトークスクリプトの作成手順【5ステップ】
Step 1:ターゲット・状況分析──誰に何を伝えるかを明確化
スクリプト作成の第一歩は、ターゲットと状況の明確化です。「誰に」「どのような状況で」「何を伝えるか」が曖昧なままでは、効果的なスクリプトは作れません。
分析すべき項目:
| 項目 | 確認内容 | 例 |
| 顧客セグメント | 新規/既存/解約/ウィンバック | 新規開拓 |
| 企業規模 | 従業員数・売上規模 | 従業員100-500名 |
| 業界 | 業界特性・課題傾向 | SaaS・IT |
| 決裁者レベル | 担当者/管理職/経営層 | 営業部長クラス |
| コールタイプ | アウトバウンド/インバウンド | アウトバウンド |
| 課題認識度 | 潜在/顕在/検討/緊急 | 潜在~顕在 |
ペルソナ設計のポイント:
単なる属性情報だけでなく、以下の「心理的側面」も設計します。
- どのような課題・悩みを抱えているか
- 何を達成したいと考えているか
- 何に不安・抵抗を感じるか
- どのような言葉・表現に反応するか
この分析が、後続のすべてのステップの土台になります。
Step 2:7段階構造の設計──時間配分と必須要素の定義
ターゲット分析を踏まえ、7段階トーク構造の具体的な設計を行います。
時間配分の設計:
| Phase | アウトバウンド | インバウンド | 必須要素 |
| 1. オープニング | 15秒 | 30秒 | 自己紹介・目的・時間確認 |
| 2. アイスブレイク | 30秒 | 1分 | 事前調査・共感・関係構築 |
| 3. ヒアリング | 2分 | 5分 | 課題発見・状況把握・ニーズ深掘り |
| 4. 価値提案 | 2分 | 5分 | ソリューション・事例・メリット |
| 5. 差別化 | 30秒 | 2分 | 競合比較・独自性・証拠 |
| 6. クロージング | 30秒 | 1分 | 次回アクション・商談設定 |
| 7. フォローアップ | 30秒 | 1分 | 関係継続・価値提供約束 |
| 合計 | 約5分 | 約16分 | – |
各Phaseの設計時の確認事項:
- このPhaseの目的(ゴール)は何か
- 顧客のどのような心理状態に働きかけるか
- 必須で含めるべき要素は何か
- 次のPhaseへの遷移条件は何か
Step 3:5軸スキル要素の配置──バランスの取れた構成
SalesGridでは、インサイドセールスのスキルを5つの軸で捉えています。効果的なスクリプトには、これらの要素がバランスよく配置されている必要があります。
5軸スキル要素:
| 軸 | 説明 | スクリプトでの表現 |
| 信頼構築 | 関係性の基盤を作る | 事前調査言及、共感表現、専門性表現 |
| 課題発見 | ニーズを引き出す | 質問技術、深掘り、構造化 |
| 価値提案 | 解決策を伝える | 課題対応策、事例活用、ROI説明 |
| 差別化 | 選ばれる理由を示す | 競合比較、独自性、証拠提示 |
| クロージング | 行動を促す | 具体的提案、決断促進、日程調整 |
Phase別の5軸配置マトリックス:
| Phase | 信頼構築 | 課題発見 | 価値提案 | 差別化 | クロージング |
| 1-2 | ◎ | – | ○ | – | – |
| 3 | ○ | ◎ | – | – | – |
| 4 | ○ | – | ◎ | – | – |
| 5 | – | – | ○ | ◎ | – |
| 6-7 | ○ | – | – | – | ◎ |
この配置を意識することで、偏りのない、バランスの取れたスクリプトが設計できます。
Step 4:顧客タイプ別カスタマイズ──新規・既存・ウィンバックの違い
基本構造が決まったら、顧客タイプに応じたカスタマイズを行います。新規開拓、既存顧客へのアップセル、解約顧客へのウィンバックでは、アプローチが大きく異なります。
顧客タイプ別カスタマイズポイント:
| 要素 | 新規開拓 | 既存深耕 | ウィンバック |
| オープニング | 価値先行・簡潔 | 関係性活用・成果言及 | 改善点・新価値先行 |
| アイスブレイク | 軽量・効率重視 | 既存関係性活用 | 過去反省・未来価値 |
| ヒアリング | 軽い確認程度 | 新たなニーズ探索 | 解約要因・現状分析 |
| 価値提案 | 簡潔・インパクト重視 | 追加価値・拡張提案 | 改善・新機能中心 |
| 差別化 | 競合との違い強調 | 継続利用のメリット | 他社からの戻り価値 |
| 時間配分 | 3-5分 | 8-12分 | 10-15分 |
既存顧客向けスクリプトの特徴:
- 過去の利用実績・成果を踏まえた提案
- 関係性を活かした深いヒアリング
- 信頼関係を前提としたアプローチ
ウィンバック向けスクリプトの特徴:
- 解約理由の把握と改善点の説明
- 新機能・サービス改善のアピール
- 特別条件・インセンティブの提示
Step 5:継続改善の仕組み設計──PDCAを回す測定項目の設定
スクリプトは「作って終わり」ではありません。継続的な改善のための仕組みを、設計段階から組み込んでおくことが重要です。
測定項目の設計:
| 指標カテゴリ | 測定項目 | 目標値(アウトバウンド) |
| 通過率 | Phase 1→2 遷移率 | 30% |
| 通過率 | Phase 2→3 遷移率 | 20% |
| 通過率 | Phase 3→4 遷移率 | 12% |
| 成果 | 商談設定率 | 4-8% |
| 品質 | スクリプト遵守率 | 80%以上 |
| 効率 | 平均通話時間 | 3-5分 |
改善サイクルの設計:
| サイクル | 頻度 | 実施内容 |
| 週次 | 毎週 | 遵守率・通過率の確認、即時改善 |
| 月次 | 毎月 | A/Bテスト結果分析、スクリプト更新 |
| 四半期 | 3ヶ月毎 | 全体構造の見直し、市場変化対応 |
改善のための具体的な活動:
- 録音分析による落ちポイント特定
- 成功パターンの抽出と標準化
- A/Bテストによる効果検証
- チーム内での成功事例共有
【実践テンプレート】8シーン別トークスクリプト例文集
インサイドセールスの成果は、シーンごとに最適化されたトークスクリプトで大きく変わります。ここでは、代表的なシーンのスクリプト例をご紹介します。
8つのコールシーン
インサイドセールスが遭遇するシーンは多様です。SalesGrid式テンプレートでは、以下の8シーンそれぞれに最適化されたスクリプトを用意しています。
| シーン | 顧客心理状態 | 目安時間 | 商談化率目標 |
| 問い合わせ・見積もり依頼対応 | 高関心度・積極的 | 12-18分 | 45-65% |
| 過去商談化しなかった顧客 | 慎重・様子見 | 5-8分 | 10-20% |
| 失注顧客ウィンバック | 懐疑的・再検討余地あり | 8-12分 | 15-25% |
| セミナー参加者フォロー | 関心あり・情報収集中 | 8-12分 | 20-35% |
| セミナー不参加者フォロー | 関心低下・忙しい | 5-8分 | 10-15% |
| ホワイトペーパーDL者 | 潜在的・情報収集段階 | 5-8分 | 8-15% |
| BDRターゲットリスト | 警戒・無関心 | 3-5分 | 3-8% |
| 受付突破 | 防御的・判断者 | 30秒-2分 | 突破率20-30% |
スクリプト例:BDRターゲットリストへのコール(抜粋)
新規開拓のアウトバウンドコールでは、短時間で関心を引き、次のステップにつなげることが重要です。
| Phase | 時間 | スクリプト例 |
| 1. オープニング | 15秒 | 「株式会社〇〇の△△と申します。営業生産性の向上について、2分だけお時間よろしいでしょうか?」 |
| 2. アイスブレイク | 15秒 | 「御社の〇〇事業について拝見しました。業界でも注目されていますね」 |
| 3. ヒアリング | 1分 | 「営業チームの効率化について、現在お取り組みのことはありますか?」 |
| 4. 価値提案 | 1分 | 「同業界の△△社様では、弊社サービス導入後に商談化率が35%向上しました」 |
| 5. 差別化 | 30秒 | 「他社との違いは、〇〇業界に特化した独自の分析エンジンです」 |
| 6. クロージング | 30秒 | 「具体的な事例を15分でご紹介できます。来週ご都合いかがでしょうか?」 |
スクリプト例:問い合わせ対応(抜粋)
問い合わせやお見積もり依頼をいただいた顧客は、すでに高い関心を持っています。丁寧なヒアリングで真のニーズを引き出し、最適な提案につなげます。
| Phase | 時間 | スクリプト例 |
| 1. オープニング | 30秒 | 「お問い合わせありがとうございます。株式会社〇〇の△△です。本日はどのようなご相談でしょうか?」 |
| 2. アイスブレイク | 30秒 | 「〇〇についてお困りなのですね。同様のお悩みをお持ちの企業様は多いです」 |
| 3. ヒアリング | 5分 | 「具体的にはどのような場面でお困りですか?」「いつ頃からその課題を感じていらっしゃいますか?」 |
| 4. 価値提案 | 5分 | 「お伺いした課題には、弊社の〇〇サービスが最適です。御社と同規模の△△社様では…」 |
| 5. 差別化 | 2分 | 「弊社の強みは3つあります。〇〇技術、△△サポート体制、そして□□の実績です」 |
| 6. クロージング | 1分 | 「御社専用の改善プランをご提案させてください。1時間ほどお時間をいただけますか?」 |
断られたときの切り返しフレーズ(抜粋)
顧客の反論に対して、適切な切り返しができるかどうかで商談化率は大きく変わります。
| 顧客の言葉 | 効果的な切り返し |
| 「今忙しくて…」 | 「承知しました。1分だけ、〇〇についてお聞きしてもよろしいですか?」 |
| 「間に合っている」 | 「そうですよね。ただ同業他社様で〇〇%向上した事例がございまして、30秒だけ…」 |
| 「検討中です」 | 「他社様をご検討中でも参考になる情報として、弊社独自の〇〇だけでもお伝えできればと」 |
| 「資料を送ってください」 | 「承知しました。どの点に特にご関心がおありですか?」 |
| 「担当者が不在です」 | 「かしこまりました。お戻りは何時頃でしょうか?お名前だけでもお伺いできますか?」 |
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トークスクリプトの効果測定と改善サイクル
Phase別成功率の測定方法と目標値設定
スクリプトの効果を科学的に測定するためには、Phase別の成功率(遷移率)を継続的にモニタリングする必要があります。
Phase別遷移率の測定方法:
Phase遷移率 = 次Phaseに進んだコール数 ÷ 当該Phaseに到達したコール数 × 100
目標値の設定(アウトバウンドの場合):
| Phase遷移 | 目標遷移率 | 計算例(100コール起点) |
| P1→P2 | 30% | 30件がP2へ |
| P2→P3 | 20% | 6件がP3へ |
| P3→P4 | 12% | 0.7件がP4へ |
| P4→P5 | 8% | 商談設定候補 |
| P5→P6 | 6% | – |
| P6→P7 | 4% | 最終商談化 |
全体商談化率の目安:
- アウトバウンド:3-8%
- インバウンド:45-65%
この目標値は業界・商材・ターゲットによって異なります。自社のデータを蓄積し、適切な目標値を設定してください。
録音分析による落ちポイントの特定手順
通話録音を分析することで、どのPhaseで顧客が離脱しているかを具体的に特定できます。
分析の手順:
Step 1:録音データの収集
- 成功コール(商談化)と失敗コール(離脱)をそれぞれ10-20件抽出
- できれば同一担当者のデータを比較
Step 2:Phase別の時間・内容を確認
- 各Phaseにかかった時間を記録
- 離脱が発生したPhaseを特定
- 離脱直前の発言内容を書き起こし
Step 3:離脱パターンの分類
| 離脱Phase | 想定される要因 | 確認ポイント |
| P1(オープニング) | 売り込み感、目的不明確 | 自己紹介の長さ、価値提示の有無 |
| P2(アイスブレイク) | 事前調査不足、共感不足 | 相手への関心表現、業界知識 |
| P3(ヒアリング) | 質問が多すぎ/少なすぎ | 質問の数と深さ、相手の反応 |
| P4(価値提案) | 課題との紐付け不足 | ヒアリング内容の活用度 |
| P5(差別化) | 独自性の不明確さ | 競合比較の具体性 |
| P6(クロージング) | 曖昧な提案、押しの弱さ | 次回アクションの具体性 |
Step 4:改善施策の立案
- 離脱が多いPhaseのスクリプトを重点的に改善
- 成功コールのパターンを標準スクリプトに反映
A/Bテストで効果検証──科学的なスクリプト最適化
スクリプトの改善は、感覚ではなくデータに基づいて行うべきです。A/Bテストにより、どのフレーズ・アプローチが効果的かを科学的に検証できます。
A/Bテストの実施方法:
- テスト対象:オープニングのフレーズ
- A案:「営業効率化についてご提案があります」
- B案:「営業効率を35%向上させる方法について」
- サンプル数:各100コール
- 測定指標:P1→P2遷移率
結果の評価:
| 項目 | A案 | B案 |
| コール数 | 100件 | 100件 |
| P2到達数 | 25件 | 32件 |
| 遷移率 | 25% | 32% |
| 統計的有意性 | – | 有意(p<0.05) |
判定と反映:
- 統計的に有意な差がある場合、効果の高い案を採用
- 有意差がない場合、追加データ収集または別要素をテスト
テスト時の注意点:
- 一度に変更する要素は1つに絞る
- 十分なサンプル数を確保する(最低各50コール以上)
- 担当者のスキル差を考慮してランダム割り当て
- 季節・曜日・時間帯の影響を排除
週次・月次で回す改善サイクルの具体的な流れ
継続的な改善のために、定期的なレビューと更新の仕組みを構築します。
週次サイクル(即時改善):
| 曜日 | 活動内容 |
| 月曜 | 先週のデータ集計・異常値確認 |
| 火曜 | 落ちポイント分析・個人別フィードバック |
| 水曜 | 改善施策の立案・チーム共有 |
| 木-金 | 改善施策の試行・効果確認 |
月次サイクル(戦略的改善):
| 週 | 活動内容 |
| 第1週 | 前月の全体データ分析・トレンド把握 |
| 第2週 | A/Bテスト結果の統計的検証 |
| 第3週 | スクリプトの更新・チームへの展開 |
| 第4週 | 新スクリプトの効果測定・次月計画策定 |
四半期サイクル(構造的見直し):
- スクリプト全体構造の見直し
- 市場環境・競合状況の変化への対応
- 新しいアプローチ・手法の導入検討
- 組織全体の成熟度評価と次ステージへの計画
よくある失敗パターンと改善点
「棒読み」になってしまう原因と対処法
最も多い失敗パターンが「棒読み」です。スクリプトを機械的に読み上げてしまい、顧客に不信感を与えてしまいます。
棒読みになる原因:
- スクリプトの「暗記」を強制している
- 会話の「意図」が理解されていない
- 練習不足で自然な話し方が身についていない
- 顧客の反応を見る余裕がない
対処法:
| 原因 | 対処法 |
| 暗記強制 | キーワードと流れの理解に重点を置く |
| 意図不理解 | 各Phaseの目的と顧客心理を教育 |
| 練習不足 | ロープレの頻度を増やす、録音で自己確認 |
| 余裕なし | 段階的に難易度を上げる、成功体験を積ませる |
効果的な練習方法:
- まずスクリプトの構造と意図を理解させる
- キーワードだけを見て話す練習
- 想定外の反応への対応練習
- 録音を聞いて自己フィードバック
ヒアリングが浅くなる──質問設計の見直し方
ヒアリングが表面的になり、顧客の本質的なニーズを把握できないケースも多く見られます。
浅いヒアリングの特徴:
- YES/NO質問ばかり
- 相手の回答を深掘りしない
- 聞きたいことだけを聞いている
- メモを取ることに集中して対話になっていない
深いヒアリングのための質問設計:
| 浅い質問 | 深い質問への改善 |
| 「課題はありますか?」 | 「具体的にどのような場面で困っていますか?」 |
| 「検討していますか?」 | 「いつ頃から検討を始められましたか?きっかけは?」 |
| 「予算は確保されていますか?」 | 「この課題解決にどの程度の投資をお考えですか?」 |
| 「他社と比較していますか?」 | 「他にどのような選択肢を検討されていますか?」 |
深掘りの基本パターン:
- 「具体的には?」
- 「例えば、どのような場面で?」
- 「それは、なぜでしょうか?」
- 「どのような影響がありますか?」
- 「理想的にはどうなると良いですか?」
クロージングが曖昧になる──具体的なゴール設定の重要性
クロージングが曖昧で、次のアクションにつながらないケースも多いです。
曖昧なクロージングの例:
- 「ご検討ください」
- 「また連絡します」
- 「資料をお送りしますね」
- 「何かあればご連絡ください」
具体的なクロージングへの改善:
| 曖昧な表現 | 具体的な表現 |
| 「ご検討ください」 | 「来週の〇曜日に、ご検討状況を確認させてください」 |
| 「また連絡します」 | 「3日後の〇日午前中に改めてお電話します」 |
| 「資料をお送りします」 | 「本日中に資料をお送りし、〇日にご感想をお聞かせください」 |
| 「何かあればご連絡ください」 | 「〇日までに、〇〇についてご回答いただけますか?」 |
効果的なクロージングの構造:
【具体的な次回アクション】+【具体的な日時】+【お互いの確認事項】

では、来週水曜日の午後2時に、〇〇についての詳細をご説明するお打ち合わせを設定させていただきます。当日までに、△△の情報をご用意いただけると、より具体的なご提案ができます。
現場で使われないスクリプトにしないための工夫
せっかく作成したスクリプトが現場で活用されないという課題もあります。
使われない理由:
- 実務と乖離した内容になっている
- 作成者と利用者が異なる
- 現場の意見が反映されていない
- 更新が追いついておらず古い情報のまま
現場で使われるスクリプトにするための工夫:
| 工夫 | 具体的な方法 |
| 現場参加型作成 | トップセールスと新人の両方を作成に巻き込む |
| 定期的な更新 | 月次で見直し、最新の成功パターンを反映 |
| 使いやすい形式 | 電話中に参照しやすいチェックリスト形式 |
| 成功体験の共有 | スクリプト活用で成果が出た事例を共有 |
| フィードバック収集 | 現場からの改善要望を定期的に収集 |
活用促進のためのマネジメント:
- スクリプト遵守率をKPIとして設定
- 遵守率と成果の相関を可視化して共有
- 優秀者の活用方法を標準化・展開
- 改善提案を評価・報酬に反映
まとめ:科学的アプローチで商談化率を最大化する
トークスクリプト設計の要点整理
本記事では、インサイドセールスにおけるトークスクリプトの設計原則と作成手順を解説してきました。最後に、重要なポイントを整理します。
トークスクリプトの本質的価値:
- 成果の再現性確保
- 継続的改善の基盤
- 組織的学習の促進
7段階トーク構造:
| Phase | 目的 | 重要ポイント |
| 1. オープニング | 継続意欲の喚起 | 簡潔さ、価値提示 |
| 2. アイスブレイク | 関係構築 | 事前調査、共感 |
| 3. ヒアリング | ニーズ把握 | SPIN話法、深掘り |
| 4. 価値提案 | 解決策提示 | 課題との紐付け |
| 5. 差別化 | 選ばれる理由 | 具体的な証拠 |
| 6. クロージング | 行動促進 | 具体的な日程設定 |
| 7. フォローアップ | 関係継続 | 次回接触の確保 |
スクリプト作成の5ステップ:
- ターゲット・状況分析
- 7段階構造の設計
- 5軸スキル要素の配置
- 顧客タイプ別カスタマイズ
- 継続改善の仕組み設計
成功のための原則:
- 顧客心理の理解に基づく設計
- データドリブンな継続改善
- 現場で使われるための工夫
- 柔軟な運用(棒読みにならない)
次のステップ──組織全体での活用と育成への接続
トークスクリプトは、個人のツールではなく組織の資産です。本記事の内容を踏まえ、次のステップとして以下のアクションをお勧めします。
- 即座に始められること:
- 現在のスクリプト(または話し方)を7段階構造で整理してみる
- 直近10件のコールを録音分析し、落ちポイントを特定する
- チーム内で成功パターンを共有する場を設ける
- 中期的に取り組むこと:
- Phase別の遷移率を測定し、ボトルネックを特定する
- A/Bテストの仕組みを導入し、科学的な改善を開始する
- 新人育成プログラムにスクリプト活用を組み込む
- 長期的に目指すこと:
- データドリブンな改善文化の醸成
- 組織全体の営業力底上げ
- 属人化からの脱却と持続可能な成長
本記事は、SalesGridの「インサイドセールス立ち上げ完全ガイド」シリーズの第6章として、トークスクリプトの設計と運用について解説しました。
次章では、本記事で設計したスクリプトを組織全体で活用し、チームのパフォーマンスを最大化するための「マネジメントと人材育成」について詳しく解説します。スクリプトを「作る」だけでなく「活かす」ための組織づくりにご興味のある方は、ぜひ続けてお読みください。
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関連記事
- 第5章:インサイドセールス組織の作り方──ゼロから構築する5つのステップ
- 第7章:インサイドセールスマネージャーの役割と必要スキル
- 第3章:インサイドセールスのKPI設計完全ガイド
よくあるご質問
質問:トークスクリプトはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
回答:基本的には「週次で微調整、月次で更新、四半期で構造見直し」のサイクルをお勧めします。週次では、録音分析から発見した小さな改善点を反映します。月次では、A/Bテストの結果や市場の変化を踏まえたスクリプトの更新を行います。四半期では、商材の変更や競合状況の変化に合わせて、スクリプト全体の構造を見直します。ただし、大きな市場変化や新製品のリリース時には、このサイクルに関わらず即座に更新することが重要です。
質問:スクリプトを作成したのに、担当者が使ってくれません。どうすればいいですか?
回答:現場で使われないスクリプトには、いくつかの共通した原因があります。まず、スクリプトの作成プロセスに現場担当者を巻き込むことが重要です。トップセールスの成功パターンを言語化し、新人の疑問点も反映することで、実務に即した内容になります。また、スクリプト遵守率と成果の相関を可視化し、「スクリプトを使うと成果が出る」という事実をデータで示すことも効果的です。さらに、電話中に参照しやすいチェックリスト形式など、使いやすい形式で提供することも重要なポイントです。
質問:アウトバウンドコールでオープニングを突破できません。改善のコツはありますか?
回答:アウトバウンドのオープニングでは、「15秒以内に価値を提示する」ことが最も重要です。長い自己紹介や会社説明は避け、相手にとってのメリットを最初に伝えましょう。効果的なパターンとしては、「同業界の〇〇社様で、△△という成果が出た方法についてお伝えしたい」のように、具体的な数字と事例を冒頭で提示することです。また、「2分だけお時間いただけますか?」のように、具体的な時間を提示して心理的なハードルを下げることも有効です。それでも突破率が低い場合は、ターゲットリストの精度や架電タイミングの見直しも検討してください。
質問:SPIN話法以外に、ヒアリングで使える効果的なフレームワークはありますか?
回答:SPIN話法以外にも、いくつかの効果的なヒアリングフレームワークがあります。BANT(Budget・Authority・Needs・Timeline)は、商談化の見込みを判断するための情報収集に適しています。MEDDIC(Metrics・Economic Buyer・Decision Criteria・Decision Process・Identify Pain・Champion)は、より複雑な大型案件向けのフレームワークです。また、チャレンジャーセールスの考え方では、顧客に新しい視点や示唆を提供しながらヒアリングを進めます。どのフレームワークを使うかは、商材の特性や顧客の購買プロセスによって選択してください。SalesGridでは、これらを組み合わせた独自の「5軸スキルフレームワーク」を提唱しています。
質問:インバウンドとアウトバウンドのスクリプトは、完全に分けて作成すべきですか?
回答:基本的には分けて作成することをお勧めしますが、共通の「コア部分」と「タイプ別の調整部分」に分けて管理すると効率的です。7段階のトーク構造自体は共通ですが、各Phaseの時間配分、質問の深さ、クロージングの強度が大きく異なります。具体的には、価値提案の内容や差別化ポイントなど「何を伝えるか」はコア部分として共通化し、オープニングの長さやヒアリングの深さなど「どう伝えるか」はタイプ別に調整する形です。また、ウェビナー参加者へのフォローコールなど、純粋なアウトバウンドでもインバウンドでもないケースもありますので、ハイブリッド型のスクリプトも用意しておくと現場で活用しやすくなります。

