顧客心理7段階モデル|警戒から商談化までの科学的アプローチ
インサイドセールスの成果を左右するのは、架電件数でもトークスキルでもありません。顧客の心理状態を正確に把握し、各フェーズに最適化されたアプローチを実行できるかどうかです。
本記事では、SalesGridが提唱する「顧客心理7段階モデル」を詳しく解説します。警戒・拒絶状態にある見込み顧客を、いかにして商談化まで導くのか。その科学的なプロセスと実践的な手法を、組織への導入ステップとともにお伝えします。
なぜ顧客心理の理解がインサイドセールスの成果を左右するのか
従来の営業アプローチが通用しなくなった背景
BtoB営業を取り巻く環境は、この10年で劇的に変化しました。
かつての営業活動は、担当者の経験と勘に依存する属人的なスタイルが主流でした。しかし現在、購買プロセスの約70%が営業担当者との接触前に完了しているというデータが示すように、顧客は自ら情報収集を行い、比較検討を進めています。
この変化により、従来型の「とにかく架電件数を増やす」「製品説明を一方的に行う」といったアプローチは、効果を失いつつあります。顧客は自分のペースで検討を進めたいと考えており、準備ができていない段階での営業アプローチは、むしろ逆効果となるケースが増えています。
顧客の心理状態を無視した架電がもたらす機会損失
インサイドセールスの現場で頻繁に発生する問題があります。
「リードは獲得できているのに、商談化率が上がらない」
この課題の根本原因は、リードの「量」にばかり目が向き、顧客の「心理状態」を見落としていることにあります。
| 問題 | 原因 | 結果 |
| 初回コールでの即断り | 顧客がまだ課題を認識していない段階でのアプローチ | 再接触の機会を失う |
| ヒアリングが進まない | 信頼関係が構築される前の深掘り質問 | 情報開示への抵抗感が増す |
| 商談設定後のキャンセル | 検討意欲が固まる前のクロージング | 営業工数の浪費 |
これらはすべて、顧客の心理フェーズを無視したアプローチが原因です。
科学的アプローチで商談化率を高める組織の違い
成果を出し続けるインサイドセールス組織には、共通する特徴があります。
それは、顧客の心理状態を可視化し、フェーズごとに最適なアクションを定義しているということです。
感覚や経験に頼るのではなく、顧客の発言内容や行動パターンから心理状態を科学的に判定し、再現性のあるプロセスとして確立しています。この違いが、商談化率の差となって現れます。
SalesGrid式「顧客心理7段階モデル」の全体像
7段階モデルの設計思想と目的
SalesGridが提唱する「顧客心理7段階モデル」は、従来のリード管理の考え方を根本から見直したフレームワークです。
設計思想のポイント
- 「自社がどう扱うか」ではなく「顧客がどう感じ、どう行動するか」を基準に設計
- 顧客の内面的な心理状態と外面的な行動変化の両面を捉える
- 商談化までの顧客の変化を7段階で科学的に分解
このモデルの目的は、顧客の心理フェーズを正確に判定し、各段階に最適なアプローチを実行することで、商談化率と商談品質を同時に向上させることにあります。
各フェーズにおける顧客の内面的変化と行動特徴
7段階モデルの全体像を把握しましょう。
| フェーズ | 名称 | 顧客の心理状態 | 主な行動特徴 |
| Phase 1A | 完全無関心状態 | 現状に満足、変化への拒否反応 | 会話を早く終わらせたがる |
| Phase 1B | 受動的現状維持状態 | 現状維持バイアス、情報は聞くが自分事化しない | 相槌程度の反応、曖昧な先送り |
| Phase 2A | 微細な違和感認識 | 「何となく違和感」を感じ始める | 他社事例への軽い関心 |
| Phase 2B | 軽度な関心・比較意識 | 他社比較や業界水準への意識 | 「うちはどうか?」という関心 |
| Phase 3A | 問題の部分的認識 | 特定領域での課題認識 | 限定的な問題への言及 |
| Phase 3B | 包括的課題認識・緊急性自覚 | 構造的な課題理解、危機感 | 複数課題の関連付け |
| Phase 4 | 解決への積極的探索 | 解決策への強い動機 | 詳細な質問、情報収集行動 |
| Phase 5 | 選択肢評価・絞り込み | 最適解を選びたい意図 | ROI・リスクへの関心 |
| Phase 6 | 導入意思固め・合意形成 | 導入への前向きな意思 | 予算・時期の具体的言及 |
| Phase 7 | 商談準備完了状態 | 正式商談への明確な意思 | 決裁者巻き込み、日程調整 |
フィールドセールスへの連携を見据えた段階設計
このモデルは、インサイドセールス単独で完結するものではありません。フィールドセールスへの効果的な連携(トスアップ)を前提に設計されています。
具体的には、Phase 6〜7に到達した顧客は、BANT情報(Budget:予算、Authority:決裁権、Need:ニーズ、Timeline:導入時期)が明確になっている状態です。この段階でフィールドセールスに引き継ぐことで、商談の成約率を最大化できます。
逆に、Phase 3〜4の段階で無理にフィールドセールスへ連携すると、商談の質が低下し、営業リソースの浪費につながります。
【STEP1〜2】警戒・拒絶から受容へ|初期フェーズの攻略法
Phase 1A「完全無関心状態」の顧客心理と判定指標
Phase 1Aは、顧客が最も強い拒絶反応を示す段階です。
顧客の心理状態
- 現状の業務に完全に満足している、または問題意識が皆無
- 外部からの情報や提案を「必要ない」と感じている
- 変化や改善に対する本能的な拒否反応
判定指標(顧客の典型的な発言)
- 「特に必要ありません」
- 「間に合っています」
- 「今のままで問題ないです」
- 「結構です」(即座の拒絶)
この段階の顧客に対して、製品説明や商談設定を急ぐことは逆効果です。まずは相手の時間への配慮を示し、警戒心を少しでも下げることが最優先となります。
Phase 1B「受動的現状維持状態」への遷移を促す方法
Phase 1Aから1Bへの遷移は、インサイドセールスにおける最初の重要な関門です。
遷移を促す3つの要素
- 信頼関係の構築
- 売り込み感を排除した丁寧なコミュニケーション
- 「この人の話なら少し聞いてもいいか」と思わせる
- 非侵襲的な情報提供
- 押し売りではなく、純粋に有益な業界情報の提供
- 相手にとってのメリットを先に提示
- タイミングへの配慮
- 忙しい時間帯を避けた適切な接触
- 短時間で要点を伝える姿勢
具体的なトーク例
「お忙しいところ恐れ入ります。〇〇会社の△△です。 本日は売り込みではなく、同業界で営業効率を35%向上させた 事例について、2分だけ情報共有させていただければと思いお電話いたしました。お時間いただけますでしょうか?」
Phase 2A・2B「違和感認識〜軽度関心」を引き出すトーク設計
Phase 2に到達した顧客は、現状に「何となく違和感」を感じ始めています。この段階では、その違和感を具体化し、関心を高めるアプローチが有効です。
Phase 2Aの特徴と対応
| 顧客の状態 | 効果的なアプローチ |
| 「まあ、こんなものかな」という曖昧な認識 | 他社事例を用いて「業界では〇〇が標準になりつつある」と伝える |
| 自分から質問はしないが、情報は受け取る | 業界トレンドや変化の情報を定期的に提供する |
Phase 2Bの特徴と対応
| 顧客の状態 | 効果的なアプローチ |
| 「うちはどうなんだろう?」という比較意識 | ベンチマーク情報を提供し、自社の立ち位置を可視化する |
| 「いいですね」程度の肯定的反応 | 成功事例の具体的な成果数値を伝え、期待感を醸成する |
立ち上げ期に陥りやすい初期フェーズでの失敗パターン
インサイドセールス組織の立ち上げ期には、初期フェーズで以下の失敗が頻発します。
失敗パターン1:量を追いすぎる
- 架電件数やコール数をKPIの中心に据え、質を無視
- 結果として、見込み顧客との関係性を破壊
失敗パターン2:段階を飛ばす
- Phase 1の顧客に対して、いきなり商談設定を試みる
- 顧客の心理的準備ができておらず、拒絶反応が強まる
失敗パターン3:画一的なスクリプト運用
- 顧客のフェーズに関係なく、同じトークを展開
- 相手の状態に合わないアプローチで信頼を失う
これらの失敗を防ぐためには、フェーズ別のKPI設計と、段階に応じたトークスクリプトの整備が不可欠です。
📘 関連記事
インサイドセールスの立ち上げ期に必要なKPI設計については、「立ち上げ期・成長期・成熟期で変えるべきインサイドセールスのKPIとは?」で詳しく解説しています。

【STEP3〜4】課題認識から解決探索へ|中期フェーズの深耕術
Phase 3A「部分的課題認識」を包括的理解へ導くヒアリング
Phase 3Aの顧客は、特定の業務領域について問題を認識し始めています。しかし、まだ部分的な認識に留まっており、課題の全体像は見えていません。
この段階でのヒアリング目標
- 顧客が認識している課題を具体化する
- 関連する他の課題との繋がりを示唆する
- 課題を放置した場合の影響を認識させる
効果的な質問例
「〇〇については確かに課題ですよね。ちなみに、その影響は他の業務にも出ていますか?」
「その課題は、いつ頃から感じていらっしゃいますか?最近、状況に変化はありましたか?」
「もし改善されたとしたら、どのような状態が理想ですか?」
Phase 3B「包括的課題認識・緊急性自覚」の判定基準
Phase 3Bに到達した顧客は、課題を構造的に理解し、「このままではまずい」という危機感を持っています。
Phase 3B到達の判定指標
- 複数の課題を関連付けて説明できる
- 問題の影響度・緊急度について具体的に言及する
- 「何とかしなければ」「改善は急務」といった表現が出る
- 社内での課題共有・議論が始まっている
この段階に到達した顧客は、解決策への関心が高まっているため、次のPhase 4への遷移がスムーズです。
Phase 4「積極的解決探索状態」での価値提案の役割
Phase 4は、顧客が能動的に解決策を探し始める段階です。ここで初めて、本格的な価値提案が効果を発揮します。
Phase 4の顧客の行動特徴
| 行動 | 意味 |
| 具体的で詳細な質問 | 解決策の実現可能性を評価している |
| 複数の情報源からの情報収集 | 比較検討のフェーズに入っている |
| 社内関係者への相談・報告 | 組織的な検討が始まっている |
この段階での価値提案のポイント
- 課題との明確な対応関係を示す
- 「お聞きした〇〇の課題は、弊社の△△で解決できます」
- 具体的な成功事例を提示する
- 同業界・同規模企業での導入効果を数値で伝える
- 複数の選択肢を提示する
- 顧客が主体的に選択できる状態を作る
SDR・BDRの役割分担と中期フェーズでの連携ポイント
中期フェーズ(Phase 3〜4)では、SDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)の連携が重要になります。
役割分担の整理
| 役割 | 主な担当フェーズ | 業務内容 |
| SDR | Phase 1〜3 | インバウンドリードの対応、初期ヒアリング、課題発見 |
| BDR | Phase 2〜4 | アウトバウンドでの新規開拓、ターゲット企業へのアプローチ |
連携のポイント
- リードの心理フェーズを正確に記録し、引き継ぎ時に共有する
- CRM/SFAツールを活用して、コミュニケーション履歴を可視化する
- 定期的なミーティングで、フェーズ判定の基準を統一する
【STEP5〜7】検討から商談化へ|後期フェーズのクロージング戦略
Phase 5「選択肢評価・絞り込み」で求められる情報提供
Phase 5の顧客は、複数の解決策から最適なものを選びたいという明確な意図を持っています。この段階では、意思決定を支援する情報提供が求められます。
顧客が求める情報
- ROI・投資対効果:導入コストに対するリターンの具体的数値
- 導入事例・成功事例:同業界・同規模企業での詳細な実績
- リスク・デメリット:失敗リスクとその対策
- 社内説明資料:決裁者・関係者を説得するための材料
効果的な対応
「他社様との比較検討をされているとのことですね。比較検討に役立つ資料をご用意しておりますので、お送りしてもよろしいでしょうか?また、上司の方への説明資料としてもお使いいただけます。」
Phase 6「導入意思固め・合意形成」を後押しする具体的施策
Phase 6では、顧客の導入意思はほぼ固まっています。残るハードルは、社内合意の形成と最終的な条件調整です。
Phase 6到達の判定指標
- 予算・導入時期について具体的な言及がある
- 「社内で前向きに検討している」「稟議を上げる予定」といった発言
- 導入体制・運用方法について詳細な質問がある
- 最終的な懸念事項・条件面の調整要求が出てくる
この段階で実施すべき施策
- 決裁者向け説明会の提案
- 担当者だけでなく、意思決定者への直接説明機会を創出
- 導入スケジュールの具体化
- 導入から運用開始までのタイムラインを明確に提示
- 懸念事項への先回り対応
- よくある懸念(コスト、運用負荷、効果測定)への回答を準備
Phase 7「商談準備完了状態」の見極めとフィールドセールス連携
Phase 7は、正式な商談・提案を受けたいという明確な意思が確認できる段階です。
Phase 7の判定指標
- 「正式に提案を聞きたい」「詳細な見積もりが欲しい」という要求
- 「部長・役員にも説明してほしい」といった決裁者巻き込みの要求
- BANT情報(Budget/Authority/Need/Timeline)の明確な提示
- 「いつから始められるか?」といった導入スケジュールの具体化質問
フィールドセールスへの連携タイミング
この段階に達した顧客は、フィールドセールスへの連携(トスアップ)の対象となります。ただし、単に「商談設定」として引き継ぐのではなく、顧客の心理フェーズと、これまでのコミュニケーション履歴を詳細に共有することが重要です。
BANT情報の活用と商談品質を高める引き継ぎ設計
フィールドセールスへの連携時には、BANT情報を中心とした引き継ぎ資料を作成します。
引き継ぎ資料に含めるべき情報
| 項目 | 内容 |
| Budget(予算) | 想定予算額、予算確保状況、決裁権限の範囲 |
| Authority(決裁権) | 意思決定者、決裁プロセス、関係者マップ |
| Need(ニーズ) | 認識している課題、解決への期待、優先度 |
| Timeline(導入時期) | 希望導入時期、検討スケジュール、制約条件 |
| コミュニケーション履歴 | 主要な会話内容、顧客の反応、懸念事項 |
| 心理フェーズ | 現在の心理段階、遷移の経緯 |
顧客心理フェーズを管理するKPI設計と組織構築
フェーズ別KPIの設計方法とサンプル指標
顧客心理7段階モデルを運用するには、フェーズ別のKPI設計が不可欠です。従来の「架電件数」「商談設定件数」だけでは、プロセスの質を評価できません。
フェーズ別KPIのサンプル
| フェーズ | KPI指標 | 目標値(サンプル) |
| Phase 1→2 | 初回継続率(30秒以上の会話継続率) | 25-35% |
| Phase 2→3 | 課題認識率(課題言及を引き出せた率) | 15-25% |
| Phase 3→4 | 情報要求率(詳細情報を求められた率) | 10-18% |
| Phase 4→5 | 比較検討移行率 | 8-15% |
| Phase 5→6 | 社内検討開始率 | 6-12% |
| Phase 6→7 | 商談設定率 | 4-8% |
重要な考え方
- 遷移率を重視する:単純な件数ではなく、次のフェーズへの遷移率を測定
- 段階的な目標設定:立ち上げ期は量、成長期は効率、成熟期は収益性を重視
- ボトルネックの特定:どのフェーズで遷移率が低いかを可視化し、改善優先度を判断
CRM・SFAツールを活用したフェーズ管理の導入ステップ
顧客心理フェーズの管理には、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)ツールの活用が効果的です。
導入ステップ
STEP1:フェーズ定義のシステム実装
- CRM/SFAにカスタムフィールドとして心理フェーズを追加
- 各フェーズの判定基準をマニュアル化
STEP2:入力ルールの標準化
- コール後の必須入力項目を定義
- フェーズ判定の根拠(顧客の発言内容)を記録
STEP3:レポート・ダッシュボードの構築
- フェーズ別のリード分布を可視化
- 遷移率の時系列推移を追跡
STEP4:運用開始と改善サイクル
- 週次でのフェーズ分布レビュー
- フェーズ判定の精度向上に向けた継続的な改善
フェーズ遷移率を可視化するダッシュボード構築の必要性
フェーズ管理を組織に定着させるためには、可視化が重要です。
ダッシュボードに含めるべき要素
| 要素 | 目的 |
| フェーズ別リード分布 | 現在のパイプライン状況を一目で把握 |
| フェーズ遷移率の推移 | 改善効果の測定、ボトルネックの特定 |
| 担当者別パフォーマンス | 個人の強み・弱みの把握、育成ポイントの特定 |
| 平均遷移日数 | リードタイムの管理、異常値の検知 |
これらのデータを定期的にチームで共有し、改善アクションに繋げることで、組織全体のパフォーマンスが向上します。
マーケティング部門との連携によるリード品質向上
インサイドセールスの成果を最大化するには、マーケティング部門との密な連携が欠かせません。
連携のポイント
- リード品質のフィードバック
- 獲得リードの初期フェーズ分布をマーケティングに共有
- 特定チャネルからのリード品質が低い場合は改善を依頼
- ナーチャリングコンテンツの共同設計
- Phase 1〜2の顧客向けのメルマガ・コンテンツを共同で企画
- 顧客の心理遷移を促すセミナーやホワイトペーパーの制作
- MQL(Marketing Qualified Lead)定義の見直し
- 心理フェーズに基づいたMQL定義への更新
- 「行動」だけでなく「心理状態」も評価基準に含める
顧客心理7段階モデルを組織に定着させる実践ステップ
STEP1:現状のリード対応プロセスを棚卸しする
組織への導入の第一歩は、現状の可視化です。
棚卸しのチェックポイント
- 現在のリード管理の分類基準は何か?
- コール後に記録している情報は何か?
- フィールドセールスへの引き継ぎ基準は明確か?
- 担当者によって対応にバラツキはないか?
この棚卸しにより、現状の課題と、7段階モデル導入に向けた改善ポイントが明確になります。
STEP2:フェーズ定義と判定基準を全員で共有する
7段階モデルを導入する際、フェーズ定義と判定基準の共通理解が最も重要です。
共有すべき内容
- 各フェーズの顧客心理状態の詳細
- フェーズ判定のための具体的な発言例
- フェーズごとの対応方針とNG行動
共有の方法
- マニュアル・ドキュメントの整備
- ワークショップ形式での事例検討
- ロールプレイングによる実践練習
STEP3:トークスクリプトをフェーズ別に再設計する
フェーズ定義が共有できたら、フェーズ別のトークスクリプトを整備します。
フェーズ別スクリプト設計のポイント
| フェーズ | スクリプトの目的 | 重視するスキル |
| Phase 1-2 | 警戒心の解除、継続意欲の喚起 | 信頼構築スキル |
| Phase 3-4 | 課題の発見・深掘り、解決意欲の醸成 | 課題発見スキル |
| Phase 5-6 | 価値の伝達、選択肢の提示 | 価値提案スキル、差別化スキル |
| Phase 7 | 商談設定、次ステップの明確化 | クロージングスキル |
📘 関連記事
フェーズ別トークスクリプトの詳細な設計方法については、「インサイドセールスのトークスクリプト作成ガイド|7段階構造と設計原則」で詳しく解説しています。

STEP4:録音分析によるフェーズ判定精度の継続改善
7段階モデルを組織に定着させるためには、継続的な改善サイクルが必要です。
録音分析による改善サイクル
- コール録音の収集
- 成功事例(フェーズ遷移に成功)と失敗事例(離脱)の両方を収集
- フェーズ判定の検証
- 録音を聞き、担当者のフェーズ判定が正確だったかを検証
- 判定基準のズレがあれば、基準を修正
- 成功パターンの抽出
- フェーズ遷移を促した具体的なトークを特定
- ベストプラクティスとしてチームに共有
- スクリプトの更新
- 効果が確認されたフレーズをスクリプトに反映
- 効果がなかったフレーズは見直し
成功企業に学ぶ導入事例と成果
顧客心理7段階モデルを導入した企業では、以下のような成果が報告されています。
導入成果の例
| 改善項目 | 改善幅 |
| 商談化率 | +35-50% |
| 商談品質スコア | +25% |
| 営業リードタイム | -20% |
| フィールドセールスからのフィードバック満足度 | +40% |
成功のポイント
- 経営層・マネージャーのコミットメント
- 段階的な導入(一部チームでの試験運用から開始)
- 定期的な振り返りと改善サイクルの確立
- ツール(CRM/SFA)との連携による運用効率化
まとめ|顧客心理の科学的理解がインサイドセールスの成功を決める
7段階モデル活用のポイント総括
本記事では、SalesGridが提唱する「顧客心理7段階モデル」について詳しく解説しました。
- 顧客の心理状態を正確に判定する
- 「自社がどう扱うか」ではなく「顧客がどう感じているか」を基準に
- 顧客の発言内容と行動パターンからフェーズを科学的に判定
- フェーズに最適化されたアプローチを実行する
- 各段階に応じたトークスクリプトの設計
- 段階を飛ばさず、顧客の心理遷移を丁寧に促す
- フェーズ管理をKPIと連動させる
- 遷移率を指標としたパフォーマンス評価
- ボトルネックの可視化と継続的な改善
- 組織全体で共通理解を持つ
- フェーズ定義と判定基準の標準化
- マーケティング・フィールドセールスとの連携強化
次に読むべきシリーズ記事の案内
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顧客心理7段階モデルをより効果的に活用するために、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事
- 「インサイドセールスのKPI設計完全ガイド|戦略・戦術・行動の3階層」
- 「インサイドセールスのトークスクリプト作成ガイド|7段階構造と設計原則」
- 「インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化術|引き継ぎ品質を高める方法」
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よくあるご質問
質問:顧客心理7段階モデルは、どのような企業規模・業種で活用できますか?
回答:顧客心理7段階モデルは、BtoB営業を行う企業であれば、企業規模や業種を問わず活用可能です。特に、複数回の接触を経て商談化に至る商材(SaaS、ITソリューション、コンサルティングサービスなど)を扱う企業で高い効果を発揮します。中小企業から大企業まで、インサイドセールス組織を持つ企業であれば導入を検討する価値があります。ただし、即決型の商材や低単価商材の場合は、7段階すべてを適用するよりも、重要なフェーズに絞って活用することをお勧めします。
質問:フェーズ判定は担当者の主観に頼ることになりませんか?
回答:フェーズ判定の客観性を担保するためには、「判定基準の明確化」と「継続的なキャリブレーション」が重要です。各フェーズに対して、顧客がどのような発言をした場合にそのフェーズと判定するか、具体的な発言例をマニュアル化します。また、定期的にチームでコール録音を聞き、フェーズ判定の認識をすり合わせる場を設けることで、担当者間のバラツキを最小化できます。CRM/SFAツールにフェーズ判定の根拠(顧客の発言内容)を記録するルールを設けることも有効です。
質問:既存のリード管理の仕組みと、7段階モデルを併用することは可能ですか?
回答:可能です。多くの企業では、既存のリードステータス管理(例:新規→接触済→商談中→成約)と、顧客心理7段階モデルを併用しています。既存のステータスは「自社側の進捗管理」、7段階モデルは「顧客側の心理状態の把握」と位置づけることで、両立させることができます。CRM/SFAツール上で、既存のステータスフィールドとは別に、心理フェーズを記録するカスタムフィールドを追加することで、スムーズに導入できます。
質問:Phase 1(無関心・拒絶状態)の顧客に対して、どのくらいの期間フォローを続けるべきですか?
回答:Phase 1の顧客に対するフォロー期間は、商材の検討サイクルやリソース状況によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月を目安にナーチャリング(育成)を継続することをお勧めします。ただし、架電によるアプローチは最小限にとどめ、メルマガ配信やセミナー案内など、負荷の低い接点維持を中心とします。業界トレンドや成功事例など、顧客にとって価値のある情報を定期的に提供し、Phase 2への遷移のきっかけを待つスタンスが効果的です。一定期間フォローしても反応がない場合は、リストからの除外や優先度の引き下げを検討してください。
質問:インサイドセールスの立ち上げ期から7段階モデルを導入すべきですか?
回答:インサイドセールスの立ち上げ期は、まず基本的なオペレーション(架電、ヒアリング、CRM入力など)を確立することが優先です。7段階モデルのフル導入は、基本オペレーションが安定した後(立ち上げから3〜6ヶ月後)からの導入をお勧めします。ただし、立ち上げ期から「顧客の心理状態を意識する」という考え方を浸透させておくことは重要です。まずはシンプルに「警戒→関心→検討→商談」の4段階程度で運用を開始し、組織の成熟に合わせて7段階モデルへ移行するアプローチが現実的です。

