マーケティングとインサイドセールスの連携設計|リード品質向上の仕組み
BtoB営業において、マーケティングとインサイドセールスの連携は、リード品質と商談化率を左右する最重要テーマです。しかし多くの企業で、両部門の間には見えない壁が存在しています。「マーケティングが獲得するリードの質が低い」「インサイドセールスがリードを適切にフォローしていない」——このような相互不信が、営業組織全体の生産性を著しく低下させているのです。
本記事では、SalesGridが提唱する科学的アプローチに基づき、マーケティングとインサイドセールスの連携設計を体系的に解説します。両部門の役割の違いを明確にし、リード定義の共通化からフィードバックループの確立まで、実践的な5つのステップをご紹介します。
この記事を読むことで、自社の連携課題を構造的に把握し、リード品質向上と商談化率改善を実現するための具体的なアクションプランを描けるようになります。
マーケティングとインサイドセールスの役割の違いを正しく理解する
連携設計の第一歩は、両部門が担う役割の違いを正確に理解することです。役割が曖昧なまま連携を進めても、責任の押し付け合いや業務の重複が発生し、かえって非効率を招きます。
マーケティング部門の役割|リード獲得から育成まで
マーケティング部門の主な役割は、市場から見込み顧客を発掘し、購買意欲を醸成することです。具体的には以下の業務領域を担います。
リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
マーケティングは、オンライン・オフラインの様々なチャネルを通じてリードを獲得します。
| 施策カテゴリ | 具体的な手法 | 獲得リードの特徴 |
| コンテンツマーケティング | ブログ記事、ホワイトペーパー、eBook | 情報収集段階の潜在層が多い |
| デジタル広告 | リスティング広告、SNS広告、ディスプレイ広告 | 顕在化した課題を持つ層にリーチ可能 |
| イベント・セミナー | 自社セミナー、展示会出展、ウェビナー | 関心度が高く、対面接点を持てる |
| プロモーション | メール配信、SNS発信、プレスリリース | 認知拡大と継続的な関係構築に有効 |
リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
獲得したリードの多くは、すぐに商談化できる状態にはありません。マーケティングオートメーション(MA)を活用し、適切なコンテンツを適切なタイミングで配信することで、購買意欲を段階的に高めていきます。
この育成プロセスを経て、一定の基準を満たしたリードをMQL(Marketing Qualified Lead)としてインサイドセールスへ引き渡すのがマーケティング部門の責務です。
インサイドセールスの役割|リード精査から商談創出まで
インサイドセールスは、マーケティングから引き渡されたリードを精査し、商談へとつなげる役割を担います。電話やメール、Web会議などの非対面チャネルを活用し、効率的に見込み顧客との関係を構築します。
- リードクオリフィケーション(見込み顧客の精査)
- インサイドセールスの最も重要な業務は、リードが本当に商談化できる見込みがあるかを判断することです。BANT情報(Budget:予算、Authority:決裁権、Need:ニーズ、Timeline:導入時期)をヒアリングし、確度の高いリードをSQL(Sales Qualified Lead)として認定します。
- 商談創出とアポイント設定
- 精査の結果、商談化の可能性が高いと判断したリードに対しては、フィールドセールスとの商談をアポイントとして設定します。この際、顧客情報や課題認識、検討状況などを詳細に引き継ぐことで、商談の成功確率を高めます。
- 見込み顧客の継続フォロー
- すぐに商談化できないリードについても、定期的なフォローアップを行い、検討タイミングが来た際に再度アプローチできる関係性を維持します。
The Modelにおける両部門の関係性と連携ポイント
SaaS企業を中心に普及した「The Model」型の営業組織では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが分業体制を敷き、それぞれが専門領域に集中することで全体最適を図ります。
The Modelにおける役割分担と連携接点
マーケティング → インサイドセールス → フィールドセールス → カスタマーサクセス
↓ ↓ ↓ ↓
リード獲得 リード精査 商談・クロージング 継続支援
リード育成 商談創出 受注 アップセル
↓ ↓ ↓
MQL SQL/SAL 成約
この分業体制において最も重要な連携ポイントは、マーケティングからインサイドセールスへのMQL引き渡しです。ここでの認識のズレが、後工程すべてに悪影響を及ぼします。
なぜ連携がうまくいかないのか|よくある課題と原因
多くの企業で、マーケティングとインサイドセールスの連携には課題が存在します。連携設計を進める前に、なぜうまくいかないのか、その構造的な原因を理解しておくことが重要です。
リード定義の曖昧さが生むミスマッチ
連携における最大の問題は、「リード」の定義が部門間で共有されていないことです。
マーケティングは「資料をダウンロードした」「セミナーに参加した」といった行動をもってリードとみなしますが、インサイドセールスから見れば「予算も決裁権もない、ただの情報収集者」かもしれません。この認識のギャップが、互いへの不信感を生み出します。
よくあるリード定義のミスマッチ例
| マーケティングの認識 | インサイドセールスの認識 | 発生する問題 |
| ホワイトペーパーDLは関心が高い証拠 | 競合調査かもしれない | 商談化率の低下 |
| セミナー参加者は全員ホットリード | 情報収集目的も多い | アプローチの優先順位が不明確 |
| リード数を増やすことが成果 | 質の低いリードが増えても意味がない | KPI達成と成果の乖離 |
情報共有不足による機会損失
部門間で顧客情報が適切に共有されていないことも、連携を阻害する大きな要因です。
マーケティングが把握している見込み顧客の行動履歴(どのコンテンツを閲覧したか、どのメールに反応したか)がインサイドセールスに伝わらなければ、的確なアプローチはできません。逆に、インサイドセールスがヒアリングした課題やニーズがマーケティングにフィードバックされなければ、施策の改善も進みません。
情報共有不足が招く具体的な弊害
- 同じ顧客に複数部門から重複したアプローチをしてしまう
- 顧客の関心事を把握せずに的外れな提案をしてしまう
- 過去の接触履歴を踏まえない対応で顧客満足度が低下する
- リードが離脱した原因を分析できず、改善につながらない
KPIの分断がもたらす部門間対立
各部門が追いかけるKPIが異なることも、連携を妨げる構造的な問題です。
マーケティングは「リード獲得数」を目標に掲げ、できるだけ多くのリードを集めようとします。一方、インサイドセールスは「商談数」や「商談化率」を追いかけるため、質の高いリードだけを求めます。このKPIの分断が、両者の対立を生み出すのです。
部門別KPIの分断がもたらす弊害
| 部門 | 追いかけるKPI | 行動傾向 | 他部門との軋轢 |
| マーケティング | リード獲得数 | 量を重視した施策に偏る | 「質が低い」と批判される |
| インサイドセールス | 商談数・商談化率 | 確度の高いリードのみ対応 | 「リードを無駄にしている」と批判される |
この問題を解決するには、部門別KPIに加えて「共通KPI」を設定し、両部門が同じゴールに向かって協力する仕組みが必要です。
連携設計の5ステップ|リード品質向上の仕組みづくり
ここからは、マーケティングとインサイドセールスの連携を強化し、リード品質を向上させるための具体的な5つのステップを解説します。SalesGridが多くの企業支援を通じて体系化した、実践的なフレームワークです。
ステップ1|共通のリード定義を策定する
連携設計の第一歩は、両部門で「リード」の定義を共通化することです。曖昧な認識を排除し、明確な基準に基づいてリードを分類します。
リードステージの定義例
| ステージ | 定義 | 判定基準 | 責任部門 |
| Lead(リード) | 何らかの接点を持った見込み顧客 | 資料DL、イベント参加、問い合わせ等 | マーケティング |
| MQL(Marketing Qualified Lead) | 一定の関心を示し、アプローチ対象となるリード | スコアリング基準を満たす、ターゲット条件に合致 | マーケティング |
| SQL(Sales Qualified Lead) | 商談化の可能性が高いと認定されたリード | BANT条件の一部を満たす、明確な課題認識あり | インサイドセールス |
| SAL(Sales Accepted Lead) | フィールドセールスが受け入れた商談対象 | 商談実施が確定、具体的な検討フェーズ | フィールドセールス |
共通定義を策定する際のポイント
リード定義の策定は、マーケティングとインサイドセールスの担当者が一堂に会し、以下の点を議論しながら進めます。
- 自社のターゲット企業像(規模、業界、課題)を明確化する
- どのような行動・属性を持つリードが商談化しやすいか、過去データを分析する
- 各ステージの判定基準を具体的な条件として言語化する
- 定義は固定せず、定期的に見直すルールを設ける
ステップ2|リードスコアリングの基準を設計する
リード定義を決めたら、次はスコアリング基準を設計します。スコアリングとは、リードの属性情報と行動情報に基づいて点数を付け、商談化の可能性を定量的に評価する手法です。
スコアリングの2軸
| スコア種別 | 評価対象 | 具体例 |
| 属性スコア | 企業・個人の基本情報 | 企業規模、業界、役職、決裁権の有無 |
| 行動スコア | 見込み顧客の行動履歴 | 資料DL、メール開封、セミナー参加、価格ページ閲覧 |
スコアリング設計の具体例
【属性スコア】
・従業員数100名以上:+10点
・ターゲット業界に該当:+15点
・役職が部長以上:+20点
・決裁権あり:+25点
【行動スコア】
・製品資料ダウンロード:+10点
・価格ページ閲覧:+15点
・事例ページ複数閲覧:+10点
・セミナー参加:+20点
・問い合わせフォーム送信:+30点
・メール開封(直近1ヶ月で3回以上):+5点
【MQL判定基準】
・合計スコア50点以上でMQL認定
・属性スコア30点以上かつ行動スコア20点以上
スコアリングにはMAツールの活用が効果的です。HubSpot、Marketo、Pardotなどの主要なMAツールにはスコアリング機能が標準搭載されており、設定した基準に基づいて自動的にスコアを算出し、閾値を超えたリードをインサイドセールスに通知することができます。
ステップ3|引き渡しルールとSLAを明文化する
リード定義とスコアリング基準を決めたら、次は引き渡しのルールを明確にします。曖昧なまま運用すると、対応漏れや遅延が発生し、せっかくのホットリードを逃してしまいます。
SLA(Service Level Agreement)で定めるべき項目
| 項目 | 定義内容 | 設定例 |
| 対応開始期限 | MQL認定から初回アプローチまでの時間 | 24時間以内 |
| 対応完了期限 | 初回アプローチから判定完了までの期間 | 5営業日以内 |
| アプローチ回数 | 判定までに実施する最低アプローチ数 | 電話3回、メール2回 |
| 報告ルール | 対応状況の報告頻度と方法 | CRMに都度入力、週次で進捗共有 |
| エスカレーション | 対応が滞った場合の対処フロー | 3営業日未対応で自動アラート |
引き渡し情報の標準化
MQLをインサイドセールスへ引き渡す際、どのような情報を共有するかも明文化しておきます。
- 企業基本情報(社名、業界、従業員数、URL)
- 担当者情報(氏名、部署、役職、連絡先)
- 流入経路(どの施策でリード化したか)
- 行動履歴(閲覧ページ、ダウンロード資料、参加イベント)
- スコア内訳(属性スコア、行動スコア、合計)
- 推定される課題・ニーズ(コンテンツ閲覧傾向から推察)
ステップ4|情報共有の仕組みとツール連携を構築する
連携を円滑に進めるには、両部門がリアルタイムで同じ顧客情報にアクセスできる環境が不可欠です。CRM・MA・SFAを適切に連携させ、情報の一元管理を実現します。
ツール連携の基本構成
MA(マーケティングオートメーション)
└─ リード獲得・スコアリング・ナーチャリング
↓ MQL情報を自動連携
CRM(顧客関係管理)
└─ 顧客情報の一元管理
↓ 商談情報を連携
SFA(営業支援システム)
└─ 商談管理・売上予測
連携で実現すべきこと
| 連携項目 | 目的 | 実現方法 |
| リード情報の自動連携 | 二重入力の排除、対応スピード向上 | MA→CRMへのAPI連携 |
| 行動履歴の可視化 | 効果的なアプローチの実現 | MA行動ログのCRM表示 |
| 商談結果のフィードバック | リード品質の評価と施策改善 | SFA→MA/CRMへの結果連携 |
| リアルタイム通知 | ホットリードの即時対応 | Slackやメールへの自動通知 |
ツール導入・連携の注意点
ツールを導入すれば自動的に連携がうまくいくわけではありません。重要なのは、ツールありきではなく、まず連携プロセスを設計し、それを支えるツールを選定することです。
ステップ5|定期的なフィードバックループを確立する
連携設計の最終ステップは、PDCAを回すためのフィードバックループの確立です。一度設計した連携プロセスも、市場環境や組織体制の変化に応じて継続的に改善していく必要があります。
連携ミーティングの設計
週次・月次で両部門が集まり、連携状況を振り返るミーティングを定例化します。
| 会議種別 | 頻度 | 参加者 | アジェンダ |
| 週次連携MTG | 週1回・30分 | マーケ担当、IS担当 | MQL進捗、対応状況、課題共有 |
| 月次振り返りMTG | 月1回・60分 | マーケMGR、ISMGR、営業MGR | KPI進捗、施策効果、改善検討 |
| 四半期レビュー | 四半期・90分 | 部門責任者、経営層 | 全体成果、戦略見直し、リソース調整 |
フィードバックで共有すべき情報
マーケティングからインサイドセールスへ:
- 今月の主要施策と獲得リードの特徴
- 新規コンテンツやキャンペーンの狙い
- リードスコアリング基準の変更点
インサイドセールスからマーケティングへ:
- MQLの商談化率と傾向
- 質の高いリードの共通特徴
- アプローチして分かった顧客の課題・ニーズ
- 「このようなリードがほしい」という要望
このフィードバックサイクルを回すことで、マーケティング施策の精度が向上し、リード品質の継続的な改善が実現します。
連携強化のためのKPI設計|部門共通の成果指標
連携を形骸化させないためには、両部門が共通のKPIを持ち、同じ目標に向かって協力する仕組みが必要です。
部門別KPIから共通KPIへの転換
従来の部門別KPIに加えて、連携成果を測る共通KPIを設定します。
部門別KPIと共通KPIの関係
| KPI種別 | マーケティング | インサイドセールス | 共通KPI |
| 量的指標 | リード獲得数 | コール数、アプローチ数 | — |
| 質的指標 | MQL数 | SQL数、商談設定数 | — |
| 連携指標 | — | — | MQL→SQL転換率、商談化率 |
| 成果指標 | — | — | 受注貢献金額、パイプライン創出額 |
推奨する共通KPI
| 指標 | 計算式 | 目標値の目安 | 意味 |
| MQL→SQL転換率 | SQL数÷MQL数×100 | 20〜30% | リード定義の適切さを測る |
| 商談化率 | 商談数÷SQL数×100 | 40〜60% | 精査精度を測る |
| リード対応率 | 対応済MQL÷全MQL×100 | 100% | SLA遵守状況を測る |
| 平均対応時間 | 初回アプローチまでの平均時間 | 24時間以内 | 対応スピードを測る |
連携品質を可視化するダッシュボード設計
共通KPIは、両部門が常に確認できるダッシュボードで可視化します。リアルタイムで進捗を把握し、問題が発生した際に即座に対処できる体制を整えます。
ダッシュボードに含めるべき項目
- MQL/SQL/商談の推移(日次・週次・月次)
- 流入チャネル別のMQL数と転換率
- インサイドセールス担当者別の対応状況
- SLA遵守率(対応期限内に処理できたMQLの割合)
- 商談化後の受注率とパイプライン金額
CRMやBIツール(Tableau、Looker、Power BIなど)を活用し、両部門がアクセスできる共通ダッシュボードを構築することで、データに基づいた連携が実現します。
連携を加速させるMA・CRM活用の実践
ここでは、マーケティングとインサイドセールスの連携を支えるツール活用の実践的な方法を解説します。
MAツール活用|リード育成とスコアリングの自動化
マーケティングオートメーション(MA)は、リード育成とスコアリングを効率化する強力な武器です。
MAで実現すべき自動化
| 機能 | 実現内容 | 連携への効果 |
| ナーチャリングシナリオ | 行動に応じた自動メール配信 | リードの購買意欲を効率的に醸成 |
| スコアリング自動化 | 行動・属性に基づく自動採点 | 人的判断のバラつきを排除 |
| MQLアラート | 閾値到達時の自動通知 | ホットリードへの即時対応を実現 |
| 行動トラッキング | Webサイト閲覧履歴の記録 | アプローチ時の有効な話題提供 |
MQL引き渡しトリガーの設計例
【自動MQL認定トリガー】
条件1:スコアが50点以上に到達
条件2:価格ページを閲覧(購買意欲の高さを示す行動)
条件3:問い合わせフォームを送信
上記いずれかの条件を満たした場合:
→ CRMにMQLとして自動登録
→ 担当インサイドセールスに通知(Slack/メール)
→ 対応期限(24時間)のタスクを自動作成
CRM/SFA活用|顧客情報の一元管理と共有
CRM(顧客関係管理)およびSFA(営業支援システム)は、顧客情報を一元管理し、部門間で共有するための基盤です。
CRM/SFAで管理すべき情報
| 情報カテゴリ | 具体的な項目 | 入力責任部門 |
| 企業情報 | 社名、業界、従業員数、売上規模 | マーケティング(初期)/ IS(補完) |
| 担当者情報 | 氏名、部署、役職、決裁権 | マーケティング(初期)/ IS(ヒアリング後更新) |
| 接触履歴 | コール記録、メール送受信、商談記録 | インサイドセールス / フィールドセールス |
| 案件情報 | 商談ステージ、想定金額、成約確度、競合状況 | フィールドセールス |
| 行動履歴 | Webサイト閲覧、メール開封、イベント参加 | MA連携で自動記録 |
情報共有のルール化
ツールを導入しただけでは、情報共有は進みません。以下のルールを明文化し、運用を徹底します。
- コール後は必ず24時間以内にCRMへ記録する
- 記録項目は最低限「対応内容」「次回アクション」「ヒアリングで得た情報」を含める
- 週次で入力状況をチェックし、未入力者にはリマインドする
ツール導入時の注意点|連携設計を先に行う重要性
多くの企業が陥る失敗パターンは、「ツールを導入すれば連携が進む」と考えてしまうことです。
ツール導入で失敗する典型的なケース
- 連携プロセスが曖昧なまま高機能なMAを導入し、使いこなせない
- CRMの入力項目が多すぎて現場が入力を怠り、データが蓄積されない
- ツール間の連携設定を後回しにし、情報が分断されたまま運用される
成功するツール導入のステップ
- まず連携プロセス(リード定義、引き渡しルール、情報共有項目)を設計する
- そのプロセスを支えるために必要なツール機能を洗い出す
- 自社の運用体制・ITリテラシーに合ったツールを選定する
- 最小限の機能から運用を開始し、段階的に活用範囲を広げる
SalesGrid式|マーケティング×インサイドセールス連携フレームワーク
ここまで解説してきた連携設計のポイントを、実務で活用できるフレームワークとしてまとめます。
連携設計チェックリスト
自社の連携状況を診断し、改善ポイントを特定するためのチェックリストです。各項目に「できている」「一部できている」「できていない」で回答し、現状を把握してください。
【リード定義・スコアリング】
- MQL/SQL/SALの定義が明文化され、両部門で合意されている
- スコアリング基準が設計され、MAで自動化されている
- リード定義は定期的(四半期に1回以上)に見直しを行っている
【引き渡しプロセス】
- MQL引き渡し時に共有すべき情報項目が標準化されている
- 対応期限や最低アプローチ回数がSLAとして明文化されている
- 対応漏れ・遅延を検知するアラートの仕組みがある
【情報共有・ツール連携】
- MA・CRM・SFAが連携し、顧客情報が一元管理されている
- 両部門が同じ顧客情報にリアルタイムでアクセスできる
- コール記録・商談結果が確実にCRMに蓄積されている
【KPI・可視化】
- 部門別KPIに加え、共通KPI(転換率、商談化率等)を設定している
- 連携KPIを可視化するダッシュボードが整備されている
- KPI進捗を両部門で定期的に確認する会議体がある
【フィードバック・改善】
- 週次・月次で連携ミーティングを実施している
- ISからマーケへのフィードバック(リード品質、顧客ニーズ)を施策に反映している
- 過去データの分析結果を基に、継続的な改善を行っている
連携ミーティングのアジェンダテンプレート
週次・月次で実施する連携ミーティングの進行アジェンダです。
【週次連携ミーティング(30分)】
| 時間 | アジェンダ | 担当 |
| 5分 | 今週のMQL/SQL実績共有 | マーケ・IS双方 |
| 10分 | 対応状況・SLA遵守状況の確認 | IS |
| 10分 | リード品質に関するフィードバック | IS→マーケ |
| 5分 | 来週の施策・対応方針確認 | マーケ→IS |
【月次振り返りミーティング(60分)】
| 時間 | アジェンダ | 担当 |
| 10分 | 月次KPI実績報告(MQL/SQL/商談/受注) | マーケMGR・ISMGR |
| 15分 | 施策別成果分析(商談化率、受注貢献度) | マーケ |
| 15分 | リード品質分析・改善提案 | IS |
| 10分 | スコアリング・定義の見直し検討 | 双方 |
| 10分 | 来月の施策計画・連携事項確認 | 双方 |
📥 eBook紹介
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まとめ:リード品質向上は連携設計から始まる
本記事では、マーケティングとインサイドセールスの連携設計について、SalesGridの科学的アプローチに基づき解説してきました。
マーケティングとインサイドセールスの役割の違いを正しく理解することが、連携の第一歩です。The Model型組織においては、MQLの引き渡しが最重要の連携ポイントとなります。
連携がうまくいかない原因は、リード定義の曖昧さ、情報共有不足、KPIの分断という3つの構造的問題にあります。これらを解消しない限り、部門間の対立は続きます。
連携設計は5つのステップで進めます。
- 共通のリード定義策定
- スコアリング基準設計
- 引き渡しルールとSLAの明文化
- 情報共有の仕組み構築
- フィードバックループの確立
部門別KPIに加えて共通KPIを設定し、両部門が同じ目標に向かって協力する仕組みを作ることが、連携を形骸化させないために重要です。
MA・CRM・SFAの適切な連携により、情報共有を自動化・効率化できますが、ツール導入の前にまず連携プロセスを設計することが成功の鍵です。
次のステップ
まずは本記事でご紹介したチェックリストを使い、自社の連携状況を診断してください。改善すべきポイントが明確になったら、優先度の高い項目から着手し、週次・月次のフィードバックループを回しながら継続的に改善を進めていきましょう。
マーケティングとインサイドセールスが真に協力し合う組織を構築することで、リード品質は向上し、商談化率・受注率は確実に改善します。その第一歩を、今日から踏み出してください。
関連記事
本記事は「インサイドセールス立ち上げ完全ガイド」シリーズの一部です。連携設計をさらに深めるために、以下の記事もあわせてご覧ください。
第5章:組織設計と体制構築
- インサイドセールス組織の作り方|ゼロから構築する5つのステップ
- インサイドセールスとフィールドセールスの連携強化術|引き継ぎ品質を高める方法
- カスタマーサクセスとの役割分担|顧客ライフサイクル全体設計
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よくあるご質問
質問:マーケティングとインサイドセールスの連携で最初に取り組むべきことは何ですか?
回答:最初に取り組むべきは「共通のリード定義の策定」です。MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)の判定基準を両部門で合意し、明文化することが連携の土台となります。定義が曖昧なまま運用を進めると、「リードの質が低い」「フォローが不十分」といった相互不信が生まれ、連携は機能しません。過去の商談データを分析し、成約に至ったリードの共通特徴を抽出した上で、具体的な判定条件を設定してください。この定義は固定ではなく、四半期に1回程度見直しを行うルールも同時に決めておくことをおすすめします。
質問:MAツールを導入していない場合でも、連携設計は可能ですか?
回答:MAツールがなくても連携設計は可能です。スプレッドシートやCRMの標準機能を活用して、リード管理と引き渡しプロセスを構築できます。具体的には、リード情報を管理するスプレッドシートを作成し、流入経路・対応状況・ステージ変更日などを記録します。MQL判定はスコアリングの自動化ではなく、一定の条件(資料DL+特定業界+従業員数100名以上など)を満たしたリードを手動でMQL認定する運用でも十分機能します。ただし、リード数が月間100件を超えてくると手動管理の限界があるため、その段階でMAツール導入を検討することをおすすめします。
質問:週次連携ミーティングで何を話し合えばよいですか?
回答:週次連携ミーティングでは、主に4つの議題を30分程度で扱います。まず「今週のMQL/SQL実績の共有」で数値を確認します。次に「対応状況・SLA遵守状況の確認」で、対応漏れや遅延がないかをチェックします。続いて「リード品質に関するフィードバック」として、インサイドセールスからマーケティングへ「今週のリードはこういう傾向があった」「この施策からのリードは反応が良かった/悪かった」といった情報を共有します。最後に「来週の施策・対応方針の確認」で、マーケティングから予定している施策を共有し、インサイドセールスが対応準備できるようにします。形式的な報告会にならないよう、改善につながる議論を心がけてください。
質問:インサイドセールスからマーケティングへのフィードバックは具体的に何を伝えればよいですか?
回答:インサイドセールスからマーケティングへ伝えるべきフィードバックは大きく3つあります。第一に「リード品質の評価」として、商談化したリード/しなかったリードの特徴、特定施策からのリードの傾向(例:このセミナー参加者は課題認識が明確だった)を伝えます。第二に「顧客の声・ニーズ」として、ヒアリングで得た課題や関心事、競合との比較で気にしている点などを共有します。これはコンテンツ企画やメッセージング改善に直結する貴重な情報です。第三に「こういうリードがほしい」という要望です。例えば「決裁者に近い人のリードがほしい」「この業界のリードを増やしてほしい」といった具体的なリクエストを伝えることで、マーケティング施策の方向性を調整できます。
質問:連携KPIとして「MQL→SQL転換率」の目標値はどれくらいが適切ですか?
回答:MQL→SQL転換率の目標値は業界や商材によって異なりますが、一般的なBtoB SaaS企業では20〜30%が一つの目安となります。ただし、この数値だけを追いかけると「確実に転換できるリードしかMQLにしない」という本末転倒な運用になりかねません。重要なのは、転換率の推移を継続的に計測し、改善傾向にあるかどうかを確認することです。立ち上げ当初は10%程度でも、リード定義の見直しとスコアリング精度の向上により徐々に改善していくのが健全な姿です。また、転換率だけでなく「転換したSQLの受注率」もあわせて確認し、最終的な成果(受注)につながっているかを検証してください。転換率が高くても受注率が低ければ、SQL定義が緩すぎる可能性があります。

