インサイドセールスの内製化vs外注|判断基準と移行ステップ
インサイドセールスの立ち上げを検討する際、多くの企業が直面する重要な意思決定があります。それは「自社で内製化するか、外注(代行サービス)を活用するか」という選択です。
この判断を誤ると、貴重な時間とコストを浪費するだけでなく、営業組織の成長機会を逃すことにもなりかねません。本記事では、SalesGridが提唱する科学的アプローチに基づき、あなたの会社にとっての最適解を見つけるための判断基準と、外注から内製化へ移行する際の具体的なステップを徹底解説します。
なぜ今、インサイドセールスの「内製vs外注」が重要な経営判断なのか
日本企業が直面する営業リソース不足の実態
日本国内のインサイドセールスは、認知度の問題もありますが、深刻な人材不足があります。
インサイドセールス専門人材は、他の営業職種と比較して約10倍の希少性があるとされています。さらに、インサイドセールス担当者の平均在職期間は17.6ヶ月と短く、採用してもすぐに離職してしまうリスクを抱えています。
このような状況下で、企業は限られたリソースをいかに効率的に活用するかという課題に直面しています。内製化と外注、どちらを選択するかは、単なるコスト比較ではなく、事業戦略に直結する経営判断なのです。
「とりあえず外注」「とりあえず内製」が失敗を招く理由
インサイドセールスの導入において、最も避けるべきは「とりあえず」の判断です。
「とりあえず外注」の典型的な失敗パターンとしては、代行会社に丸投げした結果、自社にノウハウが蓄積されず、いつまでも外注依存から抜け出せないケースがあります。また、商材理解が浅いまま営業活動が行われ、獲得したリードの質が低く、フィールドセールスとの連携がうまくいかないという問題も発生します。
一方、「とりあえず内製」の失敗パターンでは、十分な準備なく採用を進めた結果、教育体制が整わず早期離職が続出するケースや、KPI設計やトークスクリプトの作成ノウハウがなく、成果が出ないまま組織が疲弊していくケースが見られます。
どちらの選択も、明確な判断基準と実行計画なしに進めると、時間・コスト・人材という貴重な経営資源を無駄にしてしまいます。
本記事で得られる判断フレームワークの全体像
本記事では、以下の内容を体系的に解説します。
まず、インサイドセールス代行サービスの基礎知識として、タイプ別の特徴や費用相場を理解していただきます。次に、外注と内製化それぞれのメリット・デメリットを科学的に比較し、自社に最適な選択をするための5つの判断基準を提示します。
さらに、代行会社を選定する際の7つの評価軸、外注から内製化へ移行する際の段階的アプローチ、そして実際の成功事例を紹介します。最後に、SalesGrid独自のフレームワークを活用した内製組織構築の方法論をお伝えします。
インサイドセールス外注(代行サービス)の基礎知識
営業代行とインサイドセールス代行の違いを正しく理解する
「営業代行」と「インサイドセールス代行」は、しばしば混同されますが、その役割と提供価値は大きく異なります。
| 比較項目 | 営業代行 | インサイドセールス代行 |
| 主な業務範囲 | テレアポから商談・クロージングまで一貫対応 | リード獲得・育成から商談創出まで |
| 顧客接点 | 対面訪問を含む | 電話・メール・オンライン中心 |
| 成果指標 | 受注・売上が中心 | 商談数・商談化率が中心 |
| 連携部門 | 単独で完結することが多い | マーケティング・フィールドセールスとの連携が前提 |
| 適した商材 | 比較的シンプルな商材 | 複雑なBtoB商材・SaaS |
インサイドセールス代行は、The Model型の営業組織において、マーケティングとフィールドセールスをつなぐ重要な役割を担います。単なるアポイント獲得ではなく、見込み顧客の課題を深くヒアリングし、適切なタイミングで商談につなげる「リードの質」を重視するのが特徴です。
代行サービスの3つのタイプ|SDR型・BDR型・フルファネル型
インサイドセールス代行サービスは、対応する業務範囲によって大きく3つのタイプに分類できます。
- SDR(Sales Development Representative)型
- インバウンドで獲得したリードに対応するタイプです。問い合わせ対応や資料請求フォローを中心に、見込み顧客の課題をヒアリングし、商談化の可能性を判断します。マーケティング施策で獲得したリードを効率的に商談へ転換したい企業に適しています。
- BDR(Business Development Representative)型
- アウトバウンドでの新規開拓を担うタイプです。ターゲットリストの作成から、電話やメールでのアプローチ、アポイント獲得までを対応します。新規市場の開拓や、特定のターゲット企業へのアプローチを強化したい企業に向いています。
- フルファネル型
- SDRとBDRの両方を包括的に対応するタイプです。リードジェネレーションからナーチャリング、商談創出まで一貫して支援します。インサイドセールス機能全体を外注したい企業や、内製化に向けたノウハウ習得を目的とする企業に最適です。
外注で依頼できる業務範囲と対応領域
インサイドセールス代行サービスで依頼できる業務は多岐にわたります。自社の課題やリソース状況に応じて、適切な範囲を選定することが重要です。
- リード関連業務
- ターゲットリストの作成・データベース構築、リードスコアリングの設計・運用、リード情報のCRM/SFA入力・管理などがあります。
- アプローチ業務
- コールドコール・ウォームコールの実行、メールアプローチ(テンプレート作成含む)、手紙によるアプローチ、SNS・LinkedInを活用したソーシャルセリングが含まれます。
- 商談創出業務
- BANTヒアリングによる商談化判定、アポイント調整・スケジューリング、フィールドセールスへの引き継ぎ資料作成があります。
- 運用・改善業務
- トークスクリプトの作成・改善、KPIレポーティング・分析、架電録音の分析・フィードバックなどを依頼できます。
インサイドセールス代行の費用相場と料金体系を徹底比較
固定報酬型の料金相場とメリット・デメリット
固定報酬型は、月額固定の料金を支払う契約形態です。成果に関わらず一定のコストが発生しますが、予算管理がしやすく、長期的な取り組みに適しています。
費用相場
| 稼働規模 | 月額料金相場 | 含まれる内容の目安 |
| 専任1名相当 | 50〜80万円 | 月間500〜800コール程度 |
| 専任2〜3名相当 | 100〜200万円 | 月間1,000〜2,000コール程度 |
| チーム体制(5名以上) | 250万円〜 | 大規模プロジェクト対応 |
- メリット
- 予算が明確で経営計画に組み込みやすいこと、成果を出すために代行会社が積極的に改善提案してくれること、長期契約による単価交渉の余地があることが挙げられます。
- デメリット
- 成果が出なくても費用が発生すること、代行会社のモチベーション管理が必要なこと、契約期間の縛りがあるケースが多いことがあります。
成果報酬型の料金相場とメリット・デメリット
成果報酬型は、獲得したアポイントや商談数に応じて料金が発生する契約形態です。初期リスクを抑えられる一方、単価設定や成果定義の明確化が重要になります。
費用相場
| 成果指標 | 単価相場 | 備考 |
| アポイント1件 | 1.5〜3万円 | 商材難易度・ターゲットにより変動 |
| 商談1件 | 3〜5万円 | 商談化基準の定義が重要 |
| 有効リード1件 | 5,000〜1.5万円 | リード定義の明確化が必須 |
- メリット
- 成果が出なければコストが発生しないこと、代行会社のモチベーションが高く維持されやすいこと、初期投資リスクを抑えられることです。
- デメリット
- アポイントの質より量を優先されるリスクがあること、高難度商材では対応を断られる可能性があること、成果が出ると想定以上のコストになる可能性があることが挙げられます。
複合型(固定+成果報酬)の費用体系と選び方
複合型は、固定報酬と成果報酬を組み合わせた契約形態です。両者のメリットを活かしながら、リスクバランスを取ることができます。
一般的な構成例
- 基本料金(固定):月額30〜50万円(最低稼働保証)
- 成果報酬:アポイント1件あたり1〜2万円
複合型が適しているのは、一定の活動量を確保しつつ成果へのインセンティブも維持したい場合、商材の難易度が高く純粋な成果報酬では対応が難しい場合、内製化を見据えてノウハウ移管も含めた支援を受けたい場合です。
隠れコストに注意|見積もり時に確認すべき5つの項目
代行サービスの見積もりを比較する際は、表面的な料金だけでなく、以下の隠れコストを必ず確認してください。
- 初期費用
- 初期費用の内訳として、セットアップ費用、ターゲットリスト作成費用、トークスクリプト作成費用の有無と金額を確認します。初期費用が無料でも、月額料金に上乗せされているケースがあります。
- 最低契約期間
- 最低契約期間と解約条件では、多くの代行会社は3〜6ヶ月の最低契約期間を設定しています。中途解約時の違約金や、解約通知の期限を確認しましょう。
- オプション内容と料金
- 追加オプション料金として、レポーティング頻度の変更、CRM連携作業、トークスクリプトの大幅改訂などに追加料金が発生するか確認が必要です。
- 人員体制・変更条件
- 人員変更・増減時の対応では、担当者の変更や稼働人数の増減に伴う追加費用、引き継ぎ期間の取り扱いを事前に把握しておきます。
- 成果の計測と認定
- 成果の定義と計測方法については、成果報酬型の場合、アポイントや商談の定義があいまいだとトラブルの原因になります。「有効な商談」の基準を具体的に文書化しておくことが重要です。
外注と内製化のメリット・デメリットを科学的に比較する
外注のメリット|スピード・専門性・リスク分散
インサイドセールスを外注する最大のメリットは、立ち上げスピードと専門性の即時獲得にあります。
- スピードの観点
- 内製で一からチームを構築する場合、採用から育成まで最低でも6ヶ月〜1年を要します。一方、外注であれば、契約から稼働開始まで2〜4週間程度で営業活動を開始できます。市場環境の変化が激しいBtoB領域では、このスピードの差が競争優位に直結することがあります。
- 専門性
- 代行会社には多様な業界・商材での支援実績があり、効果的なアプローチ手法やトークスクリプトのノウハウが蓄積されています。自社で試行錯誤する時間を省き、最短で成果を出すことが可能です。
- リスク分散
- 採用リスク(早期離職・ミスマッチ)、教育コスト、固定人件費などを外部に転嫁できます。特に新規事業や新市場への参入時など、事業の不確実性が高いフェーズでは有効な選択肢となります。
外注のデメリット|ノウハウ蓄積・品質管理・コスト構造
一方で、外注には看過できないデメリットも存在します。
- ノウハウ蓄積の限界
- 外注に依存し続けると、自社に営業ノウハウが蓄積されません。市場や顧客から得られる貴重なインサイトが社外に留まり、プロダクト改善や事業戦略への反映が遅れるリスクがあります。
- 品質管理の難しさ
- 代行会社のスタッフは自社の商材や企業文化を深く理解しているわけではありません。トークの細かなニュアンスや、顧客との関係構築において、内製チームほどの品質を維持することは容易ではありません。
- コスト構造の課題
- 長期的に見ると、外注コストは内製コストを上回るケースが多くあります。また、成果報酬型の場合、事業が成長するほどコストが増大する構造になっています。
内製化のメリット|自社資産化・柔軟性・長期コスト最適化
内製化には、長期的な視点で見たときに大きなメリットがあります。
- 自社資産化
- 内製チームが蓄積するノウハウ、顧客インサイト、トークスクリプト、成功パターンは、すべて自社の資産になります。この知見は、フィールドセールスやカスタマーサクセス、さらにはプロダクト開発にも活かすことができます。
- 柔軟性
- 市場の変化や事業戦略の転換に応じて、即座にアプローチ方法やターゲットを変更できます。外注の場合、契約変更や再交渉が必要になり、機動性が損なわれることがあります。
- 長期コスト最適化
- 初期投資は必要ですが、チームが成熟すれば、1商談あたりの創出コストは外注よりも低くなります。また、優秀な人材を内部で育成することで、組織全体の営業力が底上げされます。
内製化のデメリット|初期投資・採用難易度・立ち上げ期間
内製化の課題も正確に認識しておく必要があります。
- 初期投資の大きさ
- 採用コスト、研修・教育コスト、ツール導入費用、マネジメント工数など、立ち上げ期には多くの投資が必要です。成果が出るまでの期間も考慮すると、資金的な余裕が求められます。
- 採用難易度
- 前述の通り、インサイドセールス経験者は市場で極めて希少です。未経験者を採用して育成する場合、教育体制の構築と、育成期間中の生産性低下を覚悟する必要があります。
- 立ち上げ期間として、採用から始めると、チームが安定的に成果を出せるようになるまで6ヶ月〜1年程度かかることが一般的です。この期間、事業成長が停滞するリスクがあります。
【比較表】外注vs内製化の判断マトリクス
| 評価軸 | 外注が有利 | 内製が有利 |
| スピード | ◎ 最短2週間で稼働 | △ 6ヶ月〜1年 |
| 初期コスト | ○ 低い | △ 高い |
| 長期コスト | △ 継続的に発生 | ○ 逓減傾向 |
| ノウハウ蓄積 | △ 限定的 | ◎ 自社資産化 |
| 品質管理 | △ 間接的 | ◎ 直接管理 |
| 柔軟性 | △ 契約範囲内 | ◎ 即座に対応可 |
| 採用リスク | ◎ 転嫁可能 | △ 自社負担 |
| 組織成長 | △ 限定的 | ◎ 人材育成効果 |
自社に最適な選択をするための5つの判断基準
判断基準①|事業フェーズと営業組織の成熟度
事業フェーズによって、最適な選択は異なります。
- シード〜アーリー期
- プロダクトマーケットフィット(PMF)の検証が最優先です。この段階では、外注を活用してスピーディーに市場の反応を確認することが有効です。ただし、顧客の声を直接聞くことの重要性も高いため、創業メンバーによる営業活動と並行して進めることをおすすめします。
- グロース期
- 事業の拡大に伴い、営業活動の量と質の両方が求められます。この段階では、外注と内製のハイブリッド体制が効果的です。外注で量を確保しながら、内製チームの立ち上げとノウハウ蓄積を並行して進めます。
- スケール期以降
- 事業が安定成長に入ったら、内製化を進める好機です。蓄積したノウハウを活かし、再現性のある営業組織を構築することで、持続的な成長基盤を確立できます。
判断基準②|商材特性とセールスサイクルの複雑さ
商材の特性によって、外注の難易度は大きく変わります。
外注しやすい商材の特徴としては、商材がシンプルで説明が容易、セールスサイクルが短い(1〜3ヶ月)、ターゲットが明確で絞り込みやすい、価格帯が中〜低価格、といった点が挙げられます。
内製が望ましい商材の特徴は、専門知識が必要で説明が複雑、セールスサイクルが長い(6ヶ月以上)、意思決定者が複数存在、高額商材でコンサルティング要素が強い、といったケースです。
特にエンタープライズ向けSaaSや、業界特化型のソリューションでは、商材理解の深さが商談品質に直結するため、内製化の優先度が高くなります。
判断基準③|投資可能な予算と期待するROI
現実的な予算制約と、期待するリターンのバランスを考慮する必要があります。
- 外注の場合の投資シミュレーション
- 月額100万円の外注費用で月間20件のアポイントを獲得し、商談化率50%、受注率20%と仮定すると、月間2件の受注となります。LTV(顧客生涯価値)が100万円の場合、月間売上200万円に対してコスト100万円となり、ROIは100%です。
- 内製の場合の投資シミュレーション
- 年間人件費600万円(月額50万円)の担当者が、立ち上げ6ヶ月後から月間15件のアポイントを獲得するとします。同じ前提で計算すると、後半6ヶ月で9件の受注、売上900万円に対してコスト600万円となり、ROIは50%です。ただし、2年目以降はノウハウが蓄積され、ROIは大幅に改善します。
短期的なROIは外注が有利ですが、長期的には内製のほうがコスト効率が高くなる傾向があります。投資判断の時間軸を明確にしておくことが重要です。
判断基準④|社内にナレッジを蓄積する必要性
ナレッジ蓄積の重要性は、事業モデルによって異なります。
- ナレッジ蓄積が重要なケース
- プロダクトの改善に顧客フィードバックが不可欠な場合、市場の変化が激しく継続的な学習が必要な場合、競争優位の源泉が顧客理解の深さにある場合、将来的に営業組織を拡大する計画がある場合が挙げられます。
- ナレッジ蓄積の優先度が低いケース
- 成熟市場で商材・顧客ニーズが安定している場合、営業活動が定型化されている場合、短期的な売上確保が最優先の場合です。
自社のビジネスモデルにおいて、営業現場からのインサイトがどれほど重要かを評価し、判断材料としてください。
判断基準⑤|スピード要件と市場環境の変化速度
市場の状況によって、スピードの重要性は変わります。
- スピードを最優先すべきケース
- 競合が急速に市場シェアを拡大している場合、投資家からの成長期待が高くランウェイ(資金余力)が限られている場合、市場の成長期で早期に顧客基盤を確立する必要がある場合です。
- スピードより品質を重視すべきケース
- 市場が成熟しており差別化が重要な場合、顧客との長期的な関係構築がLTVに直結する場合、一度失った信頼を回復するのが困難な業界である場合があります。
【診断チェックリスト】あなたの会社は外注向き?内製向き?
以下の質問にYes/Noで回答し、自社の傾向を把握してください。
外注向きの傾向(Yesが多いほど外注推奨)
- 今後6ヶ月以内に営業活動を本格化させたい
- 採用に割けるリソース(時間・工数)が限られている
- 商材は比較的シンプルで、説明に専門知識を要しない
- まずは市場の反応を見てから本格投資を判断したい
- 営業組織のマネジメント経験者が社内にいない
内製向きの傾向(Yesが多いほど内製推奨)
- 中長期的な営業組織の強化を計画している
- 商材が複雑で、深い理解が商談成功の鍵になる
- 顧客からのフィードバックをプロダクト改善に活かしたい
- 優秀な営業人材の採用・育成に投資する意思がある
- 将来的にフィールドセールスやCSへのキャリアパスを用意したい
インサイドセールス代行会社の選び方|失敗しない7つの評価軸
外注を選択した場合、代行会社の選定が成功の鍵を握ります。以下の7つの評価軸で、候補企業を比較検討してください。
評価軸①|業界・商材の支援実績と導入事例
自社と同じ業界、または類似した商材での支援実績があるかを確認します。
確認すべきポイントとして、下記が挙げられます。
- 過去の支援企業リスト
- 業界分布、同業界での成功事例(具体的な数値成果)
- 商材の複雑さに対応した実績の有無
実績が豊富な代行会社は、業界特有の課題やターゲット企業の意思決定プロセスを理解しており、立ち上げ期間の短縮とパフォーマンス向上が期待できます。
評価軸②|提供される体制とプロジェクト管理手法
代行サービスの品質は、担当するスタッフの能力と管理体制に大きく依存します。
確認すべきポイントとしては、下記が挙げられます。
- 専任担当者のアサインか共有体制か
- 担当者の経験年数・スキルレベル
- プロジェクトマネージャー(PM)の有無
- 品質管理の仕組み(モニタリング・フィードバック体制)
特に、担当者の変更が頻繁に発生する代行会社は、品質の安定性に課題がある可能性があります。契約前に担当体制と、変更時の対応方針を確認しておきましょう。
評価軸③|レポーティングとデータ連携の透明性
代行会社の活動状況を可視化できることは、改善サイクルを回す上で不可欠です。
確認すべきポイントとして、下記が挙げられます。
- レポーティングの頻度と内容(日次/週次/月次)
- 活動データの共有方法(ダッシュボード・スプレッドシート等)
- 自社CRM/SFAとのデータ連携可否
- コール録音・音声データの共有有無
データの透明性が低い代行会社は、成果が出ない場合の原因分析や改善が困難になります。「ブラックボックス化」を防ぐため、データ共有の仕組みは契約前に明確にしておくことが重要です。
評価軸④|トークスクリプトの設計・改善プロセス
トークスクリプトの品質は、アポイント獲得率と商談の質に直結します。
確認すべきポイントには、下記が挙げられます。
- スクリプト作成のプロセス(ヒアリング項目・作成期間)
- 改善サイクルの頻度と方法
- A/Bテストの実施有無
- 成功パターンの分析・横展開の仕組み
SalesGridが提唱する「7段階トーク構造」のように、体系化されたスクリプト設計手法を持っている代行会社は、再現性のある成果を期待できます。
評価軸⑤|獲得リードの品質定義と商談化率の実績
アポイント数だけでなく、その後の商談化率や受注率まで追跡している代行会社を選びましょう。
確認すべきポイントとして、下記が挙げられます。
- 有効アポイント・有効商談の定義
- 過去クライアントの商談化率・受注率の実績
- BANTヒアリングの徹底度
- リード品質に関するフィードバックへの対応姿勢
「アポイントは取れるが、商談につながらない」という状況を避けるため、品質へのこだわりを持つ代行会社を選定することが重要です。
評価軸⑥|契約条件の柔軟性と解約・移行のしやすさ
事業状況の変化に応じて、柔軟に対応できる契約条件かどうかを確認します。
確認すべきポイントには、下記が挙げられます。
- 最低契約期間の長さ
- 稼働量の増減に対する柔軟性
- 解約時の条件(違約金・通知期間)
- 内製化時のデータ・ナレッジ引き継ぎ対応
特に、将来的な内製化を視野に入れている場合、移行時の協力姿勢を事前に確認しておくことが重要です。
評価軸⑦|内製化支援・ナレッジ移管への対応姿勢
長期的なパートナーシップを築けるかどうかは、この評価軸で見極められます。
確認すべきポイントとして、下記が挙げられます。
- 内製化支援プログラムの有無
- ナレッジ移管の具体的な方法と範囲
- 研修・教育支援の提供可否
- 移行期間中のサポート体制
内製化を積極的に支援する姿勢を持つ代行会社は、短期的な売上よりも顧客の成功を重視しており、信頼できるパートナーとなりえます。
外注から内製化への移行ステップ|成功企業が実践する段階的アプローチ
外注から内製化への移行は、一朝一夕にはいきません。成功企業は、段階的なアプローチで確実に移行を進めています。
Phase1|外注活用期:成果創出とノウハウ吸収の両立
期間の目安:3〜6ヶ月
この段階のゴールは、外注を活用して営業活動を軌道に乗せながら、内製化に向けたノウハウを吸収することです。
具体的なアクションとして、代行会社と密にコミュニケーションを取り、成功パターンを学ぶこと、コール録音を定期的に確認し、効果的なトークを分析すること、KPI設計やレポーティングの方法を習得すること、自社メンバー1〜2名を「学習担当」として代行会社との窓口に配置することを実行します。
注意点:
この段階で「丸投げ」してしまうと、ノウハウが蓄積されずに移行が困難になります。必ず社内担当者を明確にし、主体的に関与することが重要です。
Phase2|ハイブリッド期:自社メンバーの段階的参画
期間の目安:6〜12ヶ月
この段階のゴールは、自社メンバーを段階的に営業活動に参画させ、実践経験を積ませることです。
具体的なアクションには、インサイドセールス担当者を1〜2名採用、代行会社の活動に同席・オブザーブ参加、簡易なリード対応から自社メンバーが担当開始、代行会社のマネージャーから自社メンバーへのOJT実施、トークスクリプトを自社向けにカスタマイズが含まれます。
注意点
自社メンバーと代行会社の役割分担を明確にし、混乱を防ぐことが重要です。また、自社メンバーの成果を代行会社と比較しすぎると、モチベーション低下につながるため注意が必要です。
Phase3|内製主導期:外注を専門領域に限定しながら体制構築
期間の目安:6〜12ヶ月
この段階のゴールは、自社チームが主体となって活動し、外注は特定領域に限定することです。
具体的なアクションとして、自社チームを3〜5名に拡大、外注はBDR(アウトバウンド新規開拓)や繁忙期対応など特定領域に限定、マネージャーを社内から登用または採用、独自のKPI管理・改善サイクルを確立、トークスクリプトやオペレーションの標準化を実行します。
注意点
この段階で急激に外注を削減すると、商談創出数が落ち込むリスクがあります。自社チームの生産性を見極めながら、段階的に移行を進めることが重要です。
Phase4|完全内製期:自走可能な営業組織の確立
期間の目安:Phase3から6ヶ月以降
この段階のゴールは、自社チームのみで安定的に商談を創出し、継続的に改善できる組織を確立することです。
具体的なアクションには、外注からの完全移行、内部昇格・育成によるマネージャー層の厚みを増すこと、データ分析に基づく継続的な改善文化の定着、フィールドセールス・マーケティングとの連携強化、採用・オンボーディングプロセスの標準化が含まれます。
注意点
完全内製化後も、市場の変化や一時的な需要増に対応するため、外注を「選択肢」として維持しておくことをおすすめします。
移行時に陥りやすい3つの落とし穴と回避策
- 落とし穴①:急激な移行による商談数の崖
- 外注を急に削減し、自社チームだけでは商談数を維持できなくなるケースです。これを回避するには、自社チームの生産性が外注の80%以上に達するまで、並行稼働を維持することが有効です。
- 落とし穴②:ノウハウの断絶
- 外注終了後、代行会社が持っていたノウハウが失われ、パフォーマンスが急落するケースです。回避策としては、移行期間中にトークスクリプト、FAQ、成功パターンを文書化し、自社のナレッジベースとして蓄積することが重要です。
- 落とし穴③:マネジメント不在
- プレイヤーは採用できても、チームを率いるマネージャーがおらず、組織が機能しないケースです。回避するには、Phase2の段階でマネージャー候補を特定し、代行会社のPMからマネジメント手法を学ばせることが効果的です。
SalesGrid式|内製インサイドセールス組織を成功させるフレームワーク
内製化を選択した場合、成功の鍵は「再現性のある仕組み」の構築にあります。SalesGridが提唱するフレームワークを活用することで、属人性を排除し、科学的なアプローチで組織を成長させることができます。
「6カテゴリ・36業務体系」で内製化すべき領域を特定する
SalesGridでは、インサイドセールスの業務を6つの大カテゴリと36の業務項目に体系化しています。

- ターゲティング・戦略設計
- 理想顧客像(ICP)の定義、セグメンテーション、アカウント戦略、ペルソナ設計、価値提案・メッセージ設計、タッチポイント設計など、営業活動の土台となる戦略業務です。
- アプローチ・商談創出
- インバウンド・アウトバウンド対応、メールシーケンス設計、展示会・イベントフォロー、スクリプト・コンテンツ制作、ナーチャリング設計など、見込み顧客との接点を創出する実行業務です。
- 商談設計・見込み判定
- BANTヒアリング、キーパーソン特定、商談化基準・SQL判定プロセス、日程調整オペレーション、フィールドセールスへの引き継ぎパッケージ作成など、商談の質を左右する重要業務です。
- データ管理
- データモデル・項目設計、CRM・MA・SFA統合運用、リードスコアリング、データ品質管理、レポート・ダッシュボード設計、リスト管理・キャパシティ設計など、営業活動を支えるデータ基盤業務です。
- パイプライン推進・連携
- フィールドセールス連携ミーティング、商談同席・キーマン開拓支援、失注・保留リサイクル戦略、アップセル・クロスセル連携、マーケティング・カスタマーサクセスとの連携など、組織横断の協働業務です。
- 成果管理・改善・能力開発
- KPI体系設計、パイプライン予測、コンバージョン分析・ボトルネック診断、プレイブック化、コーチング・通話レビュー、採用・オンボーディングなど、組織の持続的成長を支える管理・育成業務です。
内製化を進める際は、この6カテゴリ・36業務を基に、自社で内製すべき領域と、引き続き外注を活用する領域を明確に分類することが重要です。
内製化を優先すべき領域は、顧客理解に直結するカテゴリです。具体的には「ターゲティング・戦略設計」「商談設計・見込み判定」「成果管理・改善・能力開発」が該当します。これらは自社の事業戦略と密接に関わり、ノウハウを蓄積することで競争優位につながります。
外注または自動化を検討すべき領域は、定型化しやすい業務です。「データ管理」のうちリスト作成やデータクレンジング、「アプローチ・商談創出」のうち大量のアウトバウンドコールなどは、外注や自動化との相性が良い領域です。
このように、36の業務項目を一つひとつ評価し、「内製」「外注」「自動化」の最適な組み合わせを設計することで、限られたリソースを最大限に活用した営業組織を構築できます。
「7段階トーク構造」による再現性ある営業プロセスの構築
内製チームの生産性を高めるには、トークスクリプトの標準化が不可欠です。SalesGridが提唱する「7段階トーク構造」は、顧客心理の変化に沿った科学的なアプローチです。

- オープニング(0〜30秒):信頼関係の第一歩を築く
- アイスブレイク・関係構築(30秒〜2分):警戒心を解除し、会話の土台を作る
- 課題発見・ヒアリング(2〜5分):顧客の真の課題を特定する
- 価値提案・解決策提示(5〜8分):課題に対する具体的な解決策を提示する
- 競合差別化・独自性訴求(8〜9分):選ばれる理由を明確にする
- クロージング・次回アクション(9〜10分):商談設定へ誘導する
- フォローアップ・関係継続:即座の商談化が難しい場合の関係維持
この構造に沿ってスクリプトを設計することで、新人でも一定の品質を担保でき、改善ポイントも明確になります。
データドリブンな改善サイクルで外注品質を超える組織へ
内製化の真価は、継続的な改善による成長にあります。
- 週次の対応
- 週次で実施すべき改善活動として、架電録音の分析とフィードバック、KPI進捗の確認と課題特定、トークスクリプトの微修正があります。
- 月次の対応
- 月次で実施すべき改善活動には、商談化率・受注率の分析、成功パターン・失敗パターンの共有、フィールドセールスとの連携レビューが含まれます。
- 四半期の対応
- 四半期で実施すべき改善活動として、KPI設計の見直し、ターゲット・アプローチ戦略の再検討、組織体制・役割分担の最適化を行います。
このサイクルを継続的に回すことで、内製チームは代行会社の品質を超え、自社ならではの強みを持つ営業組織へと成長していきます。
まとめ:目指すは自社にとっての最適解
インサイドセールスの「内製vs外注」という選択に、普遍的な正解はありません。本記事で解説してきたように、事業フェーズ、商材特性、予算、スピード要件、ナレッジ蓄積の必要性など、多面的な観点から自社にとっての最適解を導き出すことが重要です。
外注が適しているケースは、スピードを最優先する立ち上げ期、採用・育成リソースが限られている状況、商材がシンプルで外部でも対応可能な場合です。
内製が適しているケースは、中長期的な組織強化を目指す場合、商材が複雑で深い理解が必要な場合、顧客インサイトを事業成長に活かしたい場合です。
ハイブリッドが適しているケースは、段階的に内製化を進めたい場合、領域によって最適な体制が異なる場合、リスク分散と成長の両立を図りたい場合です。
次のアクション|判断に迷ったら確認すべき3つの問い
最後に、判断に迷った際に自問すべき3つの問いを提示します。
- 問い①:3年後、自社の営業組織はどうあるべきか?
- 長期的なビジョンから逆算して、今の選択が正しいかを検証してください。
- 問い②:今、最も希少なリソースは何か?
- 時間、人材、資金のうち、最も制約が大きいものを特定し、それを補う選択をしてください。
- 問い③:顧客の声を、誰が最も深く理解すべきか?
- 顧客インサイトが事業成長の鍵なら、内製化の優先度は高くなります。
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本記事は、SalesGridの「インサイドセールス立ち上げ完全ガイド」シリーズの一部です。内製化を決断された方は、ぜひ以下の関連記事もご覧ください。
- 第2章:インサイドセールスの業務内容を徹底解説|6カテゴリ・36業務項目の全体系
- 第6章:インサイドセールスのトークスクリプト作成ガイド|7段階構造と設計原則
- 第7章:インサイドセールスの研修設計|新人を3ヶ月で戦力化する育成プログラム
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自社の状況を整理し、最適な意思決定にお役立てください。
よくあるご質問
質問:インサイドセールスの外注費用の相場はどのくらいですか?
回答:インサイドセールス代行の費用相場は、契約形態によって大きく異なります。固定報酬型の場合、専任1名相当で月額50〜80万円、2〜3名相当で月額100〜200万円が一般的です。成果報酬型では、アポイント1件あたり1.5〜3万円、商談1件あたり3〜5万円が相場となっています。複合型(固定+成果報酬)では、基本料金として月額30〜50万円に加え、成果報酬としてアポイント1件あたり1〜2万円という構成が多く見られます。ただし、商材の難易度やターゲット企業の規模、求める品質水準によって費用は大きく変動しますので、複数社から見積もりを取得し比較することをおすすめします。
質問:外注から内製化への移行にはどのくらいの期間がかかりますか?
回答:外注から完全内製化への移行には、一般的に1年半〜2年程度の期間が必要です。この期間を4つのフェーズに分けると、Phase1(外注活用期)が3〜6ヶ月、Phase2(ハイブリッド期)が6〜12ヶ月、Phase3(内製主導期)が6〜12ヶ月、Phase4(完全内製期)がPhase3完了後となります。ただし、この期間は採用の難易度、社内リソースの状況、商材の複雑さ、代行会社からのナレッジ移管の質によって大きく変動します。急激な移行は商談数の減少リスクがあるため、自社チームの生産性を確認しながら段階的に進めることが重要です。
質問:インサイドセールス代行会社を選ぶ際に最も重視すべきポイントは何ですか?
回答:代行会社選定で最も重視すべきは「自社の業界・商材に対する理解度と実績」です。同業界での支援実績がある代行会社は、ターゲット企業の意思決定プロセスや業界特有の課題を理解しており、立ち上げ期間の短縮と高いパフォーマンスが期待できます。次に重要なのは「データの透明性とレポーティング体制」です。活動状況や成果が可視化されていなければ、改善サイクルを回すことができません。また、将来的な内製化を視野に入れている場合は、「ナレッジ移管への対応姿勢」も重要な評価軸となります。短期的な売上だけでなく、クライアントの成功を重視する代行会社をパートナーに選ぶことで、長期的な成果につながります。
質問:内製化と外注、長期的にはどちらがコスト効率が良いですか?
回答:長期的には内製化のほうがコスト効率が高くなる傾向があります。外注の場合、毎月固定または成果に応じた費用が継続的に発生し、事業が成長するほどコストも増大する構造になっています。一方、内製化は採用・教育・ツール導入などの初期投資が必要ですが、チームが成熟すれば1商談あたりの創出コストは逓減していきます。一般的な目安として、2〜3年の時間軸で見ると、内製化のほうが総コストは低くなるケースが多いです。ただし、事業の不確実性が高い段階や、営業活動の規模が小さい場合は、外注のほうがリスク調整後のコスト効率が良い場合もあります。自社の事業フェーズと成長計画を踏まえて判断することが重要です。
質問:インサイドセールスを外注する場合、社内で最低限必要な体制は何ですか?
回答:外注する場合でも、社内に最低限必要な体制があります。まず必須なのが「代行会社との窓口担当者」です。週次ミーティングへの参加、成果レビュー、改善指示など、代行会社をマネジメントする役割を担います。この担当者がいないと、外注が「丸投げ」状態になり、品質管理やノウハウ蓄積ができなくなります。次に重要なのが「フィールドセールスとの連携体制」です。インサイドセールスが創出した商談をフィールドセールスに引き継ぐ際のルール、情報共有の仕組み、フィードバックループを設計する必要があります。また、代行会社から提供されるデータを分析し、改善施策に反映する「分析・改善担当」も、専任でなくとも役割として明確にしておくことをおすすめします。

